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国は困窮による孤立や自殺を防げ 生活保護問題対策全国会議・小久保弁護士 - 毎日新聞 - 毎日新聞

小久保哲郎弁護士

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため外出や営業の自粛要請が続き、売り上げ減や失業で困窮する人が増加している。憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が脅かされる中、市民はデモや集会で意見や連帯を表明する機会も十分に持てない。社会のセーフティーネットである生活保護制度の適正な運用を訴えてきた「生活保護問題対策全国会議」事務局長の小久保哲郎弁護士に、生活困窮者を支援する現場の状況と必要な対策を聞いた。

 ――感染拡大で、市民生活にどんな影響が出ていますか。

 ◆4月18、19日に弁護士や社会福祉士、労働組合など全国39の団体で電話相談会を開いたところ、自営業者やフリーランスを中心に5000件を超える相談がありました。家賃が払えない、生活費がない、と切実な声が寄せられており、既存の制度では対応できていません。例えば生活保護を受給するには、預貯金は最低生活費の1カ月分までしか認めない運用になっています。完全に困窮する前に支えれば復活できる人たちへの支援制度がなく、政府に制度の新設や改善を求める緊急要望書を出しました。

 ――2008年のリーマン・ショック時に開かれた年越し派遣村のような支援が今回は感染予防のためできません。

 ◆大阪市西成区の「釜ケ崎」での相談会では、吹きさらしの場所で間隔を空けたテーブルの間にビニールシートを張って相談を受けました。私が連携している自治体の窓口では1週間分の相談が1日に殺到して、医療現場と同じような状態になりつつあります。公務員を削減してきたため相談員1人あたりの負担が重く、相談者の待ち時間が長引き、窓口で3密状態が生まれています。貸し付けなどの決定までの期間も長期化しています。過重労働を強いられている相談員自身が待遇の悪い非正規職員で、目の下にくまを作りながら「うつになりそう」と話していました。今後「相談崩壊」が起きると懸念しています。

 ―感染防止のため、デモや集会で訴えることも難しい状況です。

 ◆集会や研修会は軒並み中止になり、国に改善を求める運動自体が難しくなっています。そこでテレビ会議システムやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活用を始めました。地方議員向けの研修会を4月にテレビ会議で開催し、60人ほどが参加してくれました。普段集まれない遠方の議員も参加できて好評でした。

 課題は、生活困窮の当事者として活動するメンバーはパソコンやネット環境を備えておらず、操作にも慣れていないため声を届けにくくなったことです。IT弱者は、感染リスクが高いため引きこもっている高齢者や障害者と重なります。使いやすい機材を支給する支援も必要です。

 ――政府の「自粛」というやり方をどう評価しますか。

 ◆憲法には正当な補償がなければ私有財産を収奪できないとあります。自粛と言いつつ(事実上)強制で、営業停止で収入がゼロになるのに補償がないことにはもっと怒りの声が聞かれるかと思いましたが、あまりいませんでした。最初から諦めていて、国を期待できる存在と思っていないようです。

 一方で自粛しない人へのバッシングが起きています。12年の生活保護バッシングでも、低年金など生活苦にならざるを得ない社会保障の脆弱(ぜいじゃく)さにこそ目を向けるべきなのに「自分も苦しいけど我慢しているのに、なんであいつは」と非難が起きました。営業自粛もきちんとした補償があれば安心して休業できるのに、国の政策が分断を招いています。自分も他人も我慢しなくていい方法に目を向けてほしいと思います。

 ――今回の危機から得られたものはありますか。

 ◆未曽有の事態ということで、住居確保給付金の受給要件の「2年以内の離職」が緩和され、休業による収入減で離職相当の状況になった場合も認められるなど少し制度が使いやすくなっています。これを平時でも必要なこととして制度の改善を訴えていくチャンスにしたい。失業手当の要件も緩和し、仕事のない人に幅広く支給すべきです。国は国民の生活を保障する義務があります。困窮による孤立や自殺を防ぐため、国に対策を要求していくことが大切です。【稲田佳代】

いのちの電話相談

 0570-783-556=ナビダイヤル 午前10時から午後10時まで

自殺予防「いのちの電話」

 0120-783-556(なやみこころ)=毎月10日(午前8時から~11日午前8時)にフリーダイヤルの電話相談

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 03-5286-9090=年中無休、午後8時~午前5時半(毎週火曜日は午後5時~午前2時半、毎週木曜日は午後8時~午前2時半 http://www.befrienders-jpn.org/)

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May 04, 2020 at 10:58AM
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