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「最期までおいしい食事とお酒を」、日本料理店を作った歯科医の心意気 - Nikkei Business Publications

東京都台東区の谷根千と呼ばれるエリアに、薄い紅色ののれんがかかった日本料理店がある。店の名前は「甚三紅(じんざもみ)」だ。オーナーは、「食いしん坊歯科医」を自称する萩野礼子氏(おはぎ在宅デンタルクリニック[東京都文京区]院長)。お店を一目見ただけでは分からないが、オーナーの専門性を生かし、かむ力や飲み込む力が弱い人でも、同行者と同じ料理をおいしく食べられるよう工夫したメニューが提供できる。背景には、「人生の最期まで、好きなものをおいしく食べられる世界になってほしい」という萩野氏の思いがあった。

 そら豆あんをかけたフォアグラの豆乳蒸し。地はまぐりしんじょに桜大根とタラの芽をのせたわん物。かにしんじょにそら豆、菜花を乗せ、べっ甲あんをかけた焼きなす田楽。これは、東京都台東区の谷中にある人気の日本料理店、「甚三紅」のある日の料理だ。ただし、メニュー表に載っている他の料理とは1つ違う点がある。全て、食べ物をかむ力や飲み込む力など、摂食えん下機能が低下した人でも食べられるよう工夫されていることだ。

かにしんじょにそら豆、菜花を乗せ、べっ甲あんをかけた焼きなす田楽。いずれも歯茎でつぶせる食材で、とろりといただける(写真:筆者が撮影、以下同)

かにしんじょにそら豆、菜花を乗せ、べっ甲あんをかけた焼きなす田楽。いずれも歯茎でつぶせる食材で、とろりといただける(写真:筆者が撮影、以下同)

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 同じテーブルについておいしい料理を食べ、会話を楽しむ。親しい人との食事の時間を人生の楽しみと考える人は多いだろう。摂食えん下機能の低下には、歯の欠損や、舌の運動機能やそしゃく能力が低いこと、唾液分泌量が少ないことなど、その人ごとにさまざまな原因が複雑に絡む。機能障害が起こると、安全に食べられる食形態が限定されたり、うまくかめず食事に時間がかかるため、食べることが好きな人でも外食を遠慮したり難しくなってくる。

 こうした状況を変えたいと、甚三紅のオーナーである歯科医の萩野礼子氏が甚三紅を開店したのは2016年のことだ。きっかけとなったのは、ライブハウスで出会って仲良くなった、今は亡き飲み友達の高齢男性だった。

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