はじめまして! 広島市で生まれ育ち、料理研究家として毎日元気いっぱいに活動している黒田千晴と申します。現在66歳です。
2014年9月から朝日新聞広島版で、「黒田千晴のSO☆SPOON」という料理コラムを連載しているご縁で、Reライフ.netの読者のみなさんにも私のコラムを読んでいただけることになりました。広島版に掲載されたものを加筆・修正しながらお届けします。どうぞよろしくお願いします。
地元の広島では、新聞やテレビで紹介してもらったり、ラジオ番組でおしゃべりさせてもらったりしているので、広島出身や在住の読者の方はもしかすると私のことをご存じかもしれませんが、大多数の方は「いったい誰?」という状態と思うので、今日はちょっと長めの自己紹介にお付き合いくださいね。
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「何かおかずはありますか?」 新米ワーママからのSOS
私は2000年、44歳のとき、広島市内で「potluck(ポットラック)」という家庭料理の店を開きました。
店の料理教室の生徒だった女性が結婚してママになり、お子さんを保育園に預けて会社に復帰したころ、泣きそうな声で電話してきました。仕事が忙しく、食事づくりに手が回らなくて困っていて、「何かおかずありますか?」と言うので、店にあったおかずを色々と詰めて持たせました。
その後、他のママからも同じようなSOSの連絡を何度かもらいました。
「これから日本は働く女性がもっと増えていく。働くママたちや、産後で助けが必要な人、ひとり暮らしの人、病気の人に家庭料理を届けたい」。
レストランとしての営業だけでなく、テイクアウトのお総菜も販売するため、さらに広島市の中心部にある広い店舗で、新たに「AGRI(アグリ)」と名付けて、再スタートしました。最初の店を始めてちょうど10年でした。
相棒のスプーンですくいあげるものは
私は自分の思いを表現するために、「SO☆SPOON」という言葉を使っています。
「たくさんの人の想(おも)い、私の想いをスプーンですくいあげて具現化したい」。そんな気持ちを込めた造語です。
店を開いてから22年、私の思いである「想」は、「創」「走」「奏」「造」「惣」「爽」「添」など、その時々の「SO」になって広がってきました。その思いを言葉にして、新聞や雑誌で書かせていただき、地元のラジオ局でのおしゃべりも22年続いています。
店を始めたころ、メディアで「主婦が夢をかなえて家庭料理の店をオープン!」という風に取り上げていただきましたが、実は大変な決心での開店でした。
夫と23歳で結婚し、3人の子どもを授かりました。3人目の末娘が生まれてすぐに実母がくも膜下出血で倒れ、今で言うところの育児と介護のダブルケアの生活が始まりました。
その母が11年後に亡くなり、末娘が中学生になったころからは、料理やガーデニング、編み物、刺繡(ししゅう)など自分の好きなことにのめり込んでいきました。何かに夢中にならないと生きていけないタイプなんです。
「ま、何とかなるじゃろ!」 夫の病気でピンチの主婦が開いたレストラン
そんな生活を楽しむようになって2、3年したころ、町工場を経営する夫の病気という別の試練が待っていました。夫はうつ病と診断され、医師からは「仕事は辞めさせるしかない」と言われました。思わず医師に「私たち、どうやって生きていけばいいんですか」と聞いたことをよく覚えています。
でも、私はいつも行き当たりばったり、生来の楽天家。「ま、何とかなるじゃろ!」という広島弁が口癖です。色々と葛藤はありましたが、「私がやるしかない!」と決心し、開店に至りました。
いざ店を持ってみると、「ま、何とかなるじゃろ!」ではならないことがたくさんありました。開店にいたるまで、そして開店してからの苦悩の日々のことは、またいつか機会があればお話ししますね。その話だけで、長編小説が書けそうなので。
店は、一緒に働いている夫の居場所でもあるので、「閉店させるわけにはいかない!」と奮闘してきました。いまの生活があるのは、お客様や周りで支えてくだる方々のおかげです。これからも料理で恩返しをしていきたいと思っています。
手間をかけすぎない料理 シンプルなReライフを応援
毎日の料理や食事にまつわるあれこれが「面倒だな」と感じるときはありませんか。そんなときでも、つくりたくなる、食べたくなるような、ちょっとしたコツや工夫をこの連載でお伝えします。
「働くママの力になりたい」という思いで、私がこれまで培ってきた、手間をかけすぎない料理が「色々なものをそぎ落としてシンプルに生きたい」というReライフ世代のみなさんのお役にも立てたらいいなと思っています。
次回以降は、コラムとともにレシピも掲載します。
1品目は「カボチャのグラタン」を予定しています。どうぞお楽しみに!
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この連載について / 黒田千晴のSO☆SPOON@Reライフ
子育て、家族、人との出会い、人生後半の生き方。広島を拠点にパワフルに活動する料理研究家の黒田千晴さんが「食」を通じて日々感じていることとは――。心と体にやさしい、ひと皿のレシピとともにお届けします。
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