新潟に約1610万円をもたらした男が、今度はチームに勝ち点3をもたらした。

J1新潟は15日の札幌戦で退場者を出しながらも1-0で勝利。1点リードの後半16分にDF新井が相手の得点機会を阻止して一発退場になり、その後は相手の猛攻を受けた。だが、オーストラリア代表DFトーマス・デン(26)を中心にチーム全員で体を張って最後まで守り抜いた。

新潟がJ1リーグ戦で退場者を出しながらも勝ち点3を得たのは13年8月の清水戦以来、クラブ10年ぶり8度目。10年前は2点リードの終了間際に退場者を出した試合だった。今回のようにロスタイムを含め40分近くも1人少ない状況で耐え抜いたのは、10年8月の京都戦以来13年ぶりだ。

その守備の中心にいたのがデン。前半から鋭い出足で相手ボールを奪い返すなど存在感が際立ち、背後を取られそうな場面でもそのスピードですぐにカバーした。試合終盤の相手のパワープレーも182センチのDFは抜群の跳躍力でことごとく跳ね返した。

新潟唯一の現役A代表で、昨年のW杯カタール大会にも出場した。選手を派遣したクラブには1人につき1日約1万1000ドルが補償金として支払われることになっており、国際サッカー連盟(FIFA)は13日にその内訳を発表。新潟はデンがいたことで11万4979ドル(約1610万円)を得る。【石川秀和】

新潟トーマス・デン(2023年3月撮影)
新潟トーマス・デン(2023年3月撮影)