新型コロナウイルスの感染拡大で多くの学校が臨時休校を続ける中、教員らが子どもたちの課題作りに腐心している。計算ドリルや漢字の反復練習にとどまらず、業者テストの活用や教科ごとのノートまとめも。ただ、登校日は設けられず、オンラインで子どもたちとやりとりできる学校も少ないため進め方やチェックは各自に委ねるしかない。休校の長期化により、これまで当然だった宿題のあり方も揺らいでいる。
平日は毎日、ノートを見開き1ページ埋めること-。新学期の開始時期に合わせた8日、福岡市のある小学校が6年生に課したのはオリジナルのノート作りだった。
内容は、教員が考えた基礎編と応用編からそれぞれ選ぶ。漢字の練習や意味調べ、理科の実験手順の振り返り、社会の県庁所在地調査、調理や裁縫と幅広い。
「学年の教員が時間をかけて話し合い、必要なことを盛り込んだ」と同小の校長は説明する。ホームページを通じて示した課題は、自分で考えて取り組む余地を残した。「学校で学べない今こそ自学の習慣を身に付ける好機」と強調する。
ただ、その意図は必ずしも伝わるわけではない。福岡県の40代女性は4月上旬、小6の娘が通う学校に電話を入れた。「もらった宿題が終わったので追加してくれませんか」
学校側は「配る予定はありません。勉強はインターネットを通じてしてください」。女性は対応に苦慮し結局、書店で子どもの苦手な国語の読解力が伸ばせるようなドリルを購入した。
ところが、子どもの学習の進み具合は一転して鈍かった。学校の宿題のような義務感がないためという。「同じドリルでも、学校の封筒に入れて渡されていれば違うのでしょうが…」。女性はため息をついた。
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宿題を巡り教員と家庭の捉え方の「ずれ」はこれまでも指摘されてきた。「目的が不明瞭で効果も検証する必要性がある」。今年3月まで九州大大学院修士課程で学び、宿題に関する論文を書いた福岡県の宮崎麻世さん(34)は言う。
宮崎さんが調べた先行研究によると、現代の形の宿題が始まったのは1900年代初頭。漢字や演算を教え込むため、学校が家庭での反復練習を求めたのが発端という。その後、細かな成績評価が必要な内申書の導入で浸透、あり方の議論も断続的に行われてきた。
90年代には雑誌が特集。宿題の狙いは家庭学習の定着にあるものの、反復練習には批判的という教員、保護者双方の共通認識はあったが、不要論が多数の教員側に対し、保護者は机に向かう強制力を期待し必要とする意見が多かった。
2016年のベネッセの調査で毎日宿題を課す小学校教員の割合は95・2%。内容は計算や漢字などの反復練習、音読が8割を超えた。その形は今も昔もさほど変わっていない。
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こうした経緯を踏まえ、宮崎さんは小学校教員と保護者5人ずつのグループにインタビューし、問題意識を調査した。それぞれの教員が主眼を置く目的は異なるが「宿題を出すのをやめようかと思ったが親の要望で出した」との意見も。総じて慣習には従いつつ、学力の定着と結びつけるのは困難とみていた。
一方の保護者は「子どもの学習を担うのは学校の仕事なのに、親の関わりが強制されている」と主張。反復練習のような宿題が学力向上にはつながっていないことへの不満もあった。「宿題がないと不安」という声は根強かった。
宮崎さんは「教員も保護者も目的が曖昧になり疑問を感じることもあったが、教員は慣習的に続く宿題を落ち着いて見直す余裕がなかった」と説明する。
宮崎さんを指導した九州大大学院の元兼正浩教授(教育行政学)は「学校側は宿題を通して家庭学習の定着に保護者を巻き込みたいと考えるが、保護者は教師の仕事の押し付けと受け止める傾向が研究から裏付けられた」と言う。その上で「宿題は学校と保護者の役割の隙間に落ち込み、双方が積極的に望むわけでもなく続いている実態もある。何のため誰のための宿題なのか、関係者間でしっかりした合意が必要だろう」と指摘した。
今回の休校と外出自粛により、子どもの学びの場は家庭に戻された形だ。従来とは異なり、多くは提出義務のない宿題を前に家庭学習をどうしていくか。宮崎さんは「家庭学習について学校も家庭も見つめ直す機会になってほしい」と期待を込める。(四宮淳平、編集委員・前田英男)
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April 19, 2020 at 12:10PM
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宿題の意義、教員と保護者に「ずれ」 家庭学習見つめ直す機会に - 西日本新聞
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