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打ち合わせ・会議が減ると「環境保護」につながる理由 - ASCII.jp

取引先に「直接ご挨拶に伺う」のを止める勇気を(写真はイメ―ジです) Photo:PIXTA

近年、海外企業を中心に積極的に取り組まれているSDGs(持続可能な開発目標)。SDGsとは、2016年に国連がスタートさせた「世界をより良くする17の目標」です。いま、新型コロナウイルスの影響により、世界中で働き方や健康福祉、資源の見直しが余儀なくされていますが、SDGsに含まれる17の目標は、アフターコロナを生きていくための課題にもつながる内容です。そこで前回に続き今回も、ブランド戦略コンサルタント村尾隆介さんの新刊『今日からできる! 小さな会社のSDGs』(青春出版社)から、SDGsの13番目の目標「気候変動に具体的な対策を」を実行する働き方のヒントを紹介します。

中小企業だからこそ大胆な「働き方改革」ができる

 SDGsの13番目のゴールである『気候変動に具体的な対策を』のために大胆なアクションをとれるのも、実は中小企業ならではのこと。たとえば、私ならばスーパーフレックスの勤務時間を導入するだろうし、夏休みやお正月休みもオフピークにして大胆にズラすかもしれません。というのも、CO2の排出に最悪なのはアイドリング。大型連休の渋滞や日々の渋滞に、社員が巻き込まれないようにルールをつくるだけでも、「気候変動とその影響に立ち向かう」SDGsの取り組みといえます。

 また、1日(1回)の勤務時間を多少長くして週休3日にするのもあり。通勤をしないことでCO2を出さないというアイデアです。週に1度はネット上での勤務という形にし、通勤する日を1日減らすでもいいと思います。

「カジュアル出勤」がもたらした、ある銀行の変化とは

 最近は耳にしなくなった「カジュアルフライデー」も、ここで復活するのはいかがでしょうか。現代なら逆にして、月~木をカジュアルに、金曜日のみをカチッと従来のビジネスパーソンらしくというルールにします。エアコンを通じたエネルギーへの貢献が今よりできるようになると思います。

 スニーカーによる通勤が増えれば、おのずとクルマを止め、自転車通勤や「一駅分は歩こう」という動きも社内に出てくると思います。私は山陰にある地方銀行のブランディングの顧問も務めていますが、島根・松江にあるその銀行の本店に勤める行員は今全員が毎日カジュアル出勤です。これにより本当に行員が皆カッコよくなりましたし、実年齢より5歳は若返りました。それでいて、そのカジュアルな装いにSDGsバッジを着けている若手も多いのもステキです。山陰全域に影響力のある銀行ですから、ここが大胆にルールを変えたことにより、この地域の働く人たちの装いは、きっと数年かけて激変すると思います。

 スニーカー通勤の人や会社を増やしたいもうひとつの理由は、気候変動により悪天候に見舞われるリスクが増したことに関係しています。「交通網がダメージを受けたからクルマを置いて歩いて帰らないといけない…」「土砂災害の心配から、ここから今すぐ走って逃げないといけない…」今日の日本なら、通勤の途中や勤務先の近くで、いつこんな状況になるか分かりません。

 その点から、スニーカー。私は東日本大震災以降、いざという時には機敏に動けるように、ほとんどビジネス的な革靴を履いていません。プライベートではサンダルも震災後、一度も履いていません。

取引先に「直接ご挨拶に伺う」のを止める勇気を

「ここは直接お会いして…」「一度、直接ご挨拶を…」という言葉が頻繁に出てくるように、中小企業や行政で働く方は、フェイス・トゥ・フェイスでリアルに会うことをとても重視しているように感じます。

 初対面でバックグラウンドチェックや相性の確認も含めて会うのならいいと思いますが、2回目以降の慣れた仲なら、ほとんどの打ち合わせは〈ZOOM〉、〈スカイプ〉やMicrosoft Teams、iPhoneなら〈フェイスタイム〉等を使ってネット上で済むはずです。

 余談ですが直接会っての打ち合わせといっても、ずらずら複数でやってくる同行者の中には会議中に一度も口を開かず帰る人も少なくありません。打ち合わせ後に、「そういえばあの人の肉声を聞かなかったな」と冗談ではなく思うことは多いです。

 それは出張や外出のムダ使いです。自分の普段の仕事と同時ないし並行し、社会をベターにするために動いていこうというのがSDGsですから、ロジカルに考えたら本業の生産性を高めることが大事。より社会のために考える時間や、社会のために使うエネルギーを確保できるからです。

 たしかにネットを介しての会議や打ち合わせは“挨拶”や“直接”を重んじる日本の文化には合わないかもしれません。もしくは交通網が発達し、道路がよく、車検もあってクルマが故障しにくい国故、「そこへ行く」が簡単にできてしまうからかもしれません。でも、今日の午後にクルマに乗って出向いた“ご挨拶”や、明日飛行機に乗って参加する(ネットで済む)報告会議…、それらも一つひとつをつなげば気候変動に影響するかもしれないのです。

 問題は、どこの地域でも業界でも、誰がこのルールを先駆者としてはじめるのか。私はSDGsに真剣に取り組もうとする中小企業の中から出てきてほしいと願っています。

欧州では乗り物を使ってわざわざ会いに行くと怒られる!?

 私は夏至冬至の日の年2回、中小企業向けに“ゼロ・ウェイスト”や“脱・プラスチック”を促す雑誌を発行しています。毎号ひとつの国にフォーカスし、その国の日本には知られていないエコ企業を雑誌内でレポートしています。ベルリンにある〈セコンドベック〉というパン屋さんは、その名前からも察することができるように「セカンドハンド(新古品)」のパンを売るお店です。その運営のシステムは大変ユニークで、ベルリンの街中で余した他のお店やホテルのパンを回収し、新品のようにディスプレイして売るというスタイルです。

 住宅地にあるお店に入るなり、私は店員から怒られました。「お前は環境雑誌をやっているのに、どうして飛行機に長時間乗って、CO2をまき散らして、わざわざ日本からベルリンに来るんだ!?〈ZOOM〉で十分だろ、これは」と。

 皮肉か冗談かと思いましたが、その店員は本気でした。でも、これが今の欧州に住む人の普通の感覚です。同時期にベルリンで取材したエコビレッジは大規模なのにもかかわらず駐車場はゼロ。そのメッセージは「車で来ないで」だそうです。

 スウェーデンの高校生で、たったひとりで気候変動へのストライキを始め、世界中で一躍有名になったグレタ・トゥーンベリさんも、今ではすごい影響力の持ち主で、ストップ温暖化会議や環境保全会議と国境を越える毎日ですが、実は飛行機以外の手段で動いています。当然これにはパフォーマンスというか、世界へのアウェアネス(気づき)も込められています。

 でも、世界のティーンたちは支持しています。私は仕事柄、世界中の高校のキャンパスに足を運びますが、生徒たちが主催するイベントのポスターを見ると、その多くが環境に関するものです。この子たちが選挙権を持つころには、きっと世界の多くの国で“緑の党”みたいな環境保全の政策を前面に掲げた政党が多くの支持を集めていることでしょう。

海外アーティストたちが積極的に行う環境保護の取り組み

 美しいメロディで世界に熱狂的なファンを持つモンスターバンド、英国出身の〈コールドプレイ〉も、2019年に環境に与えるインパクトが大きすぎるとツアーの中止を発表。じっくり考えて、少なくともツアーを通じて排出するCO2と、セーブするCO2の量をイーブンにする“カーボンニュートラル”な状態でコンサートができるようにしたいとインタビューで答えています。

「世界的に有名なアーティストが、地球を守る方向に動くのは素晴らしい」と〈WWF(世界自然保護基金)〉が歓迎のコメントした一方、日本のTVコメンテイターや文化人の反応は、なかなか冷ややかでした。

 ちなみに、社会派バンドの元祖である〈U2〉も、2019年末に行われた久しぶりの日本公演を水素エネルギーで行い、極力CO2の排出をしないように配慮していました。

 世界に先駆け〈プリウス〉という名車を世に送り出した日本ですが、ここ最近では移動に関してだいぶ他の先進国との間に考えの差が出てきてしまいました。

「会わない」「行かない」「ネットで済ます」を、どこまで早くルール化できるか?今日から中小企業として、ぜひともここの話し合いを(ネット上で)してみませんか。

 新型コロナウイルスの予防対策で、<ZOOM>等を使ったオンラインでの打ち合わせや会議が急速に増えています。テレワークや週3日勤務等と体系が変わっても仕事をすることが可能であることに気がついた企業も多いはずです。

 現在もそうですが、アフターコロナでは今までの生活や働き方を見直すことが余儀なくされるでしょう。これを機に、SDGsをはじめ、新しいアクションをぜひ検討してみてください。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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May 27, 2020 at 04:00AM
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