Search

公文書管理 将来の教訓に議事録必要 | 論説 | 福井新聞ONLINE - 福井新聞

将来の教訓に議事録必要

2020年6月3日 午前7時30分

 【論説】新型コロナウイルス感染症への対応について政府は、将来の教訓として公文書管理を徹底する「歴史的緊急事態」に指定したが、政府専門家会議の議事録は作成されていなかった。世論の批判もあり、議事録作成を不要としてきた方針を見直す検討に入った。政策決定過程が検証できるよう記録保存を徹底すべきだ。

 行政文書の管理ガイドラインは、歴史的緊急事態を▽国家・社会として記録を共有すべき歴史的に重要な政策事項▽社会的な影響が大きく政府全体として対応▽その教訓が将来に生かされる▽国民の生命、身体、財産に大規模かつ重大な被害が生じ、または生じる恐れがある場合―と規定する。

 2011年の東日本大震災に関する政府会議の議事録が未整備だった反省を踏まえて制定。今回のコロナ禍を受け、今年3月に初めて指定した。

 指定されると、政策の決定または了解を行う会議については開催日時や場所、出席者、発言内容を記載した議事録などの作成が義務づけられるが、そうでない場合は活動の進捗(しんちょく)状況や確認事項を記載した文書などの作成にとどまる。菅義偉官房長官は、専門家会議は後者に当たり、専門家に自由かつ率直に議論してもらうため、発言者が特定されない形で議事概要を作成、公表していると説明した。

 しかし、これでは政府対応の検証には不十分だと野党から批判され、専門家会議メンバーからも実名入りの議事録公開が「望ましい」との声が上がった。専門家会議は実質的に政策を方向づける場であり、専門家としての責任ある発言が前提だ。政策決定のプロセスを明らかにする上で、議事録作成は欠かせない。

 日本の公文書管理を巡っては、陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)や森友学園を巡る決裁文書の改ざん、「桜を見る会」の招待者名簿廃棄など近年、さまざまな問題が浮上している。背景に公文書に関する意識の低さがある。

 公文書とは「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」(公文書管理法)とされる。文書の作成や保存、利用が適切に行われることで「現在及び将来の国民」への説明責任が果たされなくてはならない。

 その点、公文書管理制度が進んでいる米国などに見習うべき点は多い。今後、文書の保存や整理、廃棄時における評価選別を担う専門職「アーキビスト」の養成も急ぎたい。

 国だけでなく、地方においても今回のコロナ禍にどう対応したのか行政文書を適切に記録、保存する必要がある。その教訓は将来の感染症流行の際、役立つに違いない。公文書管理の意識を高め、未来の国民にしっかり引き継ぎたい。

関連記事

Let's block ads! (Why?)



"文書" - Google ニュース
June 03, 2020 at 05:30AM
https://ift.tt/2XWZ6Z4

公文書管理 将来の教訓に議事録必要 | 論説 | 福井新聞ONLINE - 福井新聞
"文書" - Google ニュース
https://ift.tt/38AepLw
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

Bagikan Berita Ini

0 Response to "公文書管理 将来の教訓に議事録必要 | 論説 | 福井新聞ONLINE - 福井新聞"

Post a Comment

Powered by Blogger.