ヘレン・ブリッグス、BBC環境担当編集委員
ジャイアントパンダを救う取り組みは、保護活動で最大の成功物語となっている。
数十年かけて保護区を整備したことで、ジャイアントパンダは絶滅の危機から脱した。
しかし最新の研究では、この保護活動が他の多くの動物に恩恵を与えている一方で、一部の動物に被害を及ぼしていることがわかってきた。
ジャイアントパンダ保護区の大半で、ヒョウ、ユキヒョウ、オオカミ、イヌ科のドールなどの姿がほぼ見えなくなっている。
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これらの動物は伐採、密猟、病気によってすでに絶滅寸前に追いやられており、もし姿を消すことになれば、「生態系の大変化や崩壊すら」招きかねないと、中国の研究者らは話す。
ヒョウやオオカミのような動物がいなくなれば、シカや家畜が自由に歩き回る。すると、自然生息地が荒らされ、連鎖的にパンダを含む他の野生動物に影響が及ぶという。
自然保護活動家らはこれまで、人々を魅了するパンダの住む森を守ることは、同じ場所に生息する他の動物も同時に保護することになると考えていた。
ところが、一部の野生動物についてはそれが当てはまるものの、ヒョウやオオカミなどの大型の肉食動物に関しては、そうとは言えないことが見えてきた。
研究者チームは現在、パンダの住む生態系を保つには、他の主要な動物に大打撃が及ばない、より幅広い全体的なアプローチが必要だとしている。
このことは、「ジャイアントパンダに限らず他の野生生物にとっての生態系も復元力と持続力を増すため、決定的に求められている」と、今回の研究論文を共同執筆した北京大学の李晟博士は話した。
研究者らはそれを実践する方法として、密漁の取り締まりや、大型肉食動物の獲物となる動物の生息地の復元などを挙げている。
ジャイアントパンダは、「アンブレラ種」とみなされている。アンブレラ種は、保護対象に選ばれた種であり、それを守ることで間接的に、他の野生動物の生態コミュニティーも守ることになるとされている。
野生のパンダの場合は、生息する森を守ることが、鳥や小型肉食動物など多くの動物と植物にとっても利益になっている。
その一方、ヒョウ、ユキヒョウ、オオカミ、ドール(生息地は広範だが知名度は低い)などの大型の捕食動物は、不利益を被っていると思われる。
パンダ保護区が各地に設定されたのは1960年代だが、それ以降、これら4種の動物すべてが、パンダ保護区の大部分で姿を消している。ヒョウはパンダ保護区の81%でいなくなった。ユキヒョウはパンダ保護区の38%、オオカミは同77%、ドールは同95%から消えた。
生息数は今やごくわずかだ。例えばドールは、約8000の調査拠点における計150万日分以上のカメラ撮影で、わずか4回しか姿が捉えられなかった。
ロンドン動物学会(ZSL)のサミュエル・ターヴィ教授は、中国や世界各地の保護活動は、特定の「最重要種」の保護と、それが地域の生物多様性に利益をもたらすとの推定が基本になることが多いと指摘した。ターヴィ教授は今回の研究には参加していない。
中国の中央部におけるジャイアントパンダ、南部・海南省におけるテナガザルの保護もその一例だ。
「これにより、いくつかの大事な種が回復した。ただ、危うい状況にある生物多様性を維持しようとするとき、生態系のより広いレベルにおける、人間の活動の問題にも取り組む必要がある。そうでないと、対象になっていない種が、気づかれないまま減っていく恐れがある」と、ターヴィ教授は話した。
今回の研究では、研究者らは66のジャイアントパンダの自然保護区を含む、73の保護区のデータを分析。歴史的な調査データと、10年分の広範な自動撮影カメラ調査の結果を比較した。
研究は、オンラインジャーナル「Nature Ecology & Evolution」に掲載されている。
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August 07, 2020 at 04:03PM
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パンダ保護で他の野生動物が減少、ユキヒョウやオオカミ=研究 - BBCニュース
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