電子レンジで食材を調理したら加熱し過ぎてパサパサ、あるいは時間が足りず一部が冷たい……なんてことありませんか?
こんにちは。飯炊屋カゲゾウです。
電子レンジ調理というと、レシピがないときにW数と加熱時間をどう設定していいかわからず、「料理の温め直しにしか使っていない」という状態でした。
しかし、電子レンジレシピに詳しい料理研究家のしらいのりこさんにご指導いただき、実際に調理したことで、その魅力に開眼! 皆さまにもレシピやコツを共有させてください。
※本記事では電子レンジのW数はすべて600Wを想定しています。
目玉焼き付き! レンチンガパオライス
しらいのりこさん(以下、敬称略):今回は豚のひき肉を使ったレシピを3つご紹介します。ひき肉って電子レンジ調理にすっごく向いている食材なんですよ。
──えっ、そうなんですか?
しらい:1枚肉や塊の肉だと加熱ムラができやすいんですけど、ひき肉は最初からバラバラでムラになりにくいので、安心して調理していただけるかなと思います。
レンチンガパオライスレシピ(2人前)
【材料】
A
- 豚ひき肉 200g
- 赤パプリカ 1/2個(50g 1cm角に切る)
- 玉ねぎ 1/2個(100g 1cm角に切る)
- ニンニク 1片(みじん切り)
- 赤唐辛子 小さじ1/2(輪切り)
B
- オイスターソース、しょうゆ 各大さじ1
- 砂糖、ごま油 各小さじ1
レンチン目玉焼き
- 卵 2個
- 塩、こしょう 各少々
- 水 大さじ1/2
その他
- バジル 5枚
- ご飯 400g
しらい:耐熱容器にAの材料をすべて入れます。
しらい:同じ耐熱容器にBの調味料を加え、ひと混ぜします。
しらい:ラップをかけて、電子レンジで4分加熱します。ラップは加熱するとピンと張ってはがしにくくなるので、ふんわりかけてください。
しらい:電子レンジから耐熱容器を取り出して、食材を混ぜます。
この工程は、実は電子レンジ調理全般に共通する大事なポイント。加熱ムラを防ぐために、4分以上加熱が必要な場合は途中で取り出して、一度食材を混ぜてください。
──なるほど、わかりやすい目安です。
しらい:水蒸気でやけどをしないように、ラップは必ずお皿の奥側から外してくださいね。混ぜたらラップをしてもう3分加熱したのち、取り出してバジルをちぎって振りかけます。
続いて、電子レンジで目玉焼きを作りましょう。
──えっ、電子レンジで作れるものなんですか!? 前に一度挑戦したら卵を破裂させて、庫内が大惨事になったことがあって……。
しらい:ポイントを押さえてもらえれば大丈夫ですよ。
多少深さがある耐熱容器に大さじ1/2の水を入れ、卵2個を割り入れます。そして、黄身につまようじや竹串で数カ所穴を開けてください。穴を開けて、加熱し過ぎに注意すれば、破裂することはありません。それでも電子レンジで作るのが心配な方は、市販されている半熟の卵を利用していただいてもOKです。
しらい:穴を開けたあとは塩とこしょうを少々振り、ふんわりラップをかけて電子レンジで1分10秒加熱し、取り出します。そのまま少し放置し、余熱が通ればOKです。
──おお、なんだかいい感じにできました!
しらい:黄身の固さはお好みで。固いほうがよければ、10秒ずつ追加で加熱しながら様子をみてください。
お皿にご飯を盛って、さっきの肉と目玉焼きをのせて……完成!
さっそく試食すると、調味料はシンプルなのに味は本格的! 砂糖とオイスターソースの奥行きのある甘じょっぱさが、ご飯にバッチリ合います。
ニンニクと唐辛子もパンチが効いていて、バジルの爽やかな風味もいいアクセントになっています。ウチの家族にも大好評でした。
「電子レンジのW数と加熱時間の目安」を知りたい!
──しらいさん、次のレシピを紹介いただく前にどうしても聞きたいことがあります。電子レンジ調理の場合、レシピがなく自己流でやるときに「W数と加熱時間」がわからず、敬遠してきたのですが。
しらい:「600Wの場合、100gの材料は2分加熱」というのが目安になります。
──そんなわかりやすい基準があったんですね!
しらい:これを知っていると飛躍的に電子レンジ調理が上手になるかなと。例えば今回のガパオライスはひき肉が200g、玉ねぎが100gです。パプリカが、個体差はありますが、1/2個で50gぐらいとすると、材料は合計350g。なので、だいたい「7分」で熱が入りそうだと予測できるんですね。
──なるほどなるほど。
しらい:「4分以上加熱するときは一度混ぜる」というのもポイントなので、4分加熱したら一度取り出して混ぜて、もう3分加熱すればいいことがわかります。
──ほんとだ、目安にのっとってレシピが構成されている!
しらい:電子レンジってすごく簡単な印象があると思うんですけど、加熱するときにポイントになるのは食材の質量と時間です。計量がめんどうだって人は多いと思うんですけど……。
──自己流でやるときにハカリは使ったことがなかったです。
しらい:適当にやる方は失敗しやすいと思います。ちゃんと計量すると、失敗する確率はてきめんに減ります。なので、細かい人のほうが実は電子レンジ調理に向いているとも言えるんですよね。
──合理的な処理が必要なのか……。まさに「理(ことわり)」を「料(はか)る」で「料理」ですね。
しらい:もちろん熱が通りやすい、通りにくい食材はあります。野菜は特に注意するとよいかと。例えば、ブロッコリーは目安時間どおりに加熱すると崩れてしまいがち。初めてレンジ調理する食材は、様子見で目安より30秒短くしてもらうといいと思います。
1人前で作るときはどうすればいいの?
──今回教えていただく料理はすべて2人前のレシピですが、一人暮らしの方も多いと思います。そんな場合は分量や時間はどう設定すればいいですか?
しらい:もし1人前であれば材料は半量にしましょう。時間はきっちり半分だと熱が入りきらないので「+1分」くらいの目安でやるといいと思います。
──この目安も取り入れると、レンチンガパオライスレシピのコツはこんな感じですね。
《レンチンガパオライスレシピのポイント》
- 4分以上加熱するときは一旦取り出して混ぜる
- 黄身に数カ所穴を開ける
- 1人前の場合、材料は半量
- 1人前の場合、ガパオの加熱時間は3分+2分、目玉焼き(卵1個)は40秒
フワウマ! レンチン豆腐ハンバーグ
──今度はハンバーグですか。ウチの子供たちも大好きなので楽しみです。
しらい:ハンバーグって実はとても電子レンジ調理に向いていて、すごくやわらかく美味しくできるんですよ。
──ほんとですか! フライパンで肉厚のハンバーグを作ると中心部まで火が通らず、電子レンジで再加熱ってのを今でも結構やっちゃうんですよね。
しらい:そういった失敗が電子レンジだとすべて解決されるので、全国の人に作ってもらいたいハンバーグです。
レンチン豆腐ハンバーグレシピ(2人前)
【材料】
A
- 豚ひき肉 200g
- 絹豆腐 1/2丁(150g)
- しょうがすりおろし 小さじ1
※チューブタイプでも可 - 片栗粉 大さじ1
- 塩 小さじ1/3
B
- しょうゆ 大さじ1
- 砂糖、酢、ごま油、片栗粉 各小さじ1
- 水 1/2カップ
その他
- 万能ネギの小口切り 大さじ2
しらい:調理用ポリ袋にAの材料を全部入れていきます。
──ところで、豆腐は絹のほうがいいんですか? ハンバーグにするなら木綿のほうがしっかり固まりそうなイメージがあるのですが。あと水切りはしなくても大丈夫でしょうか?
しらい:木綿でも作れますが、絹だとよりフワフワの食感になります。豆腐の水分もそのまま使いたいので、パックから取り出したあとは水切りをしなくて大丈夫です。
しらい:Aを全部入れたら調理用ポリ袋の中でよく混ぜてください。調理用ポリ袋がなければ、最初から耐熱容器内で混ぜてもらっても大丈夫ですよ。
しらい:混ぜ終わったらタネを大きく2等分にし、耐熱容器の上にポトポト落として、手やヘラなどで成形します。
──空気抜きのためにタネを手でキャッチボールするやつは、しなくていいんでしょうか?
しらい:すっごくタネがやわらかいので、できないと思います。成形したら耐熱容器にふんわりラップをかけて、4分加熱してください。
しらい:この間にBの調味料をすべて混ぜ合わせます。
──ガパオを作るときはバラバラに調味料をかけていましたが、豆腐ハンバーグの場合は、先にBを混ぜたほうがよいということでしょうか?
しらい:はい。このあとタネにかけますが、かける直前にもよく混ぜてください。片栗粉が入っているので、沈殿しやすいんです。
しらい:タネを4分加熱したら、Bをよくかき混ぜて容器に流し入れ、また3分加熱します。
──おお、できた! タレにとろみがあっていい感じです。
しらい:ところどころに少しダマがあるかもしれませんけど、ぐるぐる混ぜればキレイなとろみになります。
しらい:お皿に盛った豆腐ハンバーグの上からタレをかけてください。最後に万能ネギの小口切りを散らして、完成です。
──さっそくいただきます。おお、見た目はボリューミーで実際食べ応えもあるんですけど、豆腐のおかげで食感がすごく軽い。ほんとフワフワです。あと、しょうがが効いているのもアクセントになっていいですね。
しらい:自分で言うのもなんですが、私もこのハンバーグ、すごく好きなんです。
──肉の断面の凹凸に優しい味のタレが絡みついていて、めちゃくちゃご飯が進みます! ところで今回どの料理も「豚ひき肉」ですが、合いびき肉や鶏ひき肉で代用しても大丈夫ですか?
しらい:鶏ひき肉だとハンバーグがやわらかくなり過ぎてしまうと思います。合いびき肉は、ちょっと香りと味にクセがあるのであまりオススメしません。ただ最初のレンチンガパオライスと、このあと紹介する、なすピーマンとひき肉の炒めない炒め物は、合いびき肉でも鶏ひき肉でも大丈夫です。
《レンチン豆腐ハンバーグレシピのポイント》
- 豚ひき肉で作る
- 混ぜ合わせた調味料はタネにかける直前にもう一度混ぜる
- 1人前の場合、材料はすべて半量
- 1人前の場合、加熱時間は3分+2分
簡単&超本格的! なすピーマンとひき肉の炒めない炒め物
──炒めないのに炒め物なんですね(笑)。
しらい:禅問答みたいな料理名なんですけど(笑)、これもご飯に合うのでぜひ作ってみてください。
なすピーマンとひき肉の炒めない炒め物レシピ(2人前)
【材料】
A
- 豚ひき肉 100g
- なす 約3~4本(270g 乱切りにする)
- ピーマン 約2個(60g 乱切りにする)
- ごま油 大さじ1
B
- みそ、砂糖 各大さじ1と1/2
- 豆板醤 小さじ1/2
- ニンニクすりおろし 小さじ1
※チューブタイプでも可
しらい:なすも個体差がありますけど3~4本でだいたい270gになります。大きいと2本でいけると思います。なすは乱切りにしてください。
──なすって品種によって結構大きさが違いますもんね。ちなみに、水にさらしてアク取りしたほうがいいんですか?
しらい:すぐに加熱するので水にさらさなくても大丈夫です。ただ、どうしてもアクが気になるようであれば水に20分ぐらいさらしてもらえばOKです!
そしてピーマンも乱切りにしますが、種を取っても取らなくてもOKです。
──種は取らなくても大丈夫なんだ! 次回そうしてみます。
しらい:今は種をつけたまま料理をする人も増えていますね。正直、あってもなくても味は変わらないかなと(笑)。
──サラダとか、生でもいけますか?
しらい:種は加熱したほうがいいので、生は避けてください。それと、耐熱容器ですが、食材にカサがあるのでちょっと深めのものがいいです。
──それならボックス型の耐熱プラスチック容器でもいいですか?
しらい:「電子レンジで加熱するなら、プラスチック容器は耐熱温度140度以上のものを使用するように」といわれていますが、油分の多い料理だと高温になりやすいので、溶けちゃうこともあるんですよね……。
──それなら、今回、油は少量ですけど、陶器やガラス製の耐熱容器のほうが安心ですね。
しらい:なければ、丼で代用していただいてもOKです。
ピーマンとなすを容器に入れたら、ごま油を回しかけてひと混ぜします。ちょっと油を絡める感じですね。
しらい:続けてそこにひき肉とBを加えて、最後に全体を軽く混ぜます。ふんわりラップをして電子レンジで5分加熱します。Bはガパオのレシピのように、個別に加えて大丈夫です。
しらい:5分加熱したらざっくりと中身を混ぜ、再度ラップをかけてもう4分加熱してください。
2回目の加熱が終わったら、中身をひと混ぜしてラップをかけ、そのまま2分ほど置いてください。
──2分って結構待ちますね。なぜですか?
しらい:取り出してすぐ食べると、なすに熱が通っているような、ないような状態に感じちゃうんですね。
──ああ、それわかります。以前、自己流で調理したなすを食べたらスポンジみたいな食感のときがありました……。と言っているうちに余熱が通ったので、盛り付けて、完成しました!
しらい:なすを使う料理は、余熱が通る間に味がなじんでどんどん美味しくなります。余裕があれば4~5分置いてもいいですよ。
──さっそく食べてみます。うわっ、みそと砂糖が肉にしっかりなじんでコクうまな仕上がりになってます。豆板醤とニンニクの風味で中華っぽさもあって、じんわり味を吸ったなすとピーマンの程よい苦みがいいですね。
しらい:余熱が通ると全体的に蒸した感じになり、それが落ち着くと炒めた感が出てくるんですね。
──確かに、電子レンジ調理って言われなかったら、普通に炒めて作ったんだろうなぁって思いますもん! ご飯に合うのはいわずもがな、この炒めない炒め物、ビールにもバッチリ合います!
《なすピーマンとひき肉の炒めない炒め物レシピのポイント》
- 深めの耐熱容器を使う
- しっかり余熱を通す時間をとる
- 1人前の場合、材料は半量
- 1人前の場合、加熱時間は3分+2分(+余熱2分)
電子レンジに偏見持っててすみませんでした
──これまで電子レンジ調理をなめていたフライパン信者だったんですけど、今回作ったレシピはどれも美味しくて「すまん電子レンジよ、俺の偏見だった」ってなりました。
しらい:電子レンジ調理はやってみると楽しくておもしろいですよ。これを機に、ぜひいろいろお試しいただけたらと思います。洗い物も「うっそー!」ってくらい少なくなるので、それも大きなメリットかと思います。
──ウチはテフロンコーティングのフライパンなんで、食洗器にかけられなくて。でも耐熱容器なら、そのまま入れられるのでいろいろ手間が省けるなと思いました。ありがとうございました!
しらい:ありがとうございました!
実際に作ってみて思ったのは、日常シーンによっても、電子レンジレシピはとても有用なのではということ。
例えばウチは5人家族なのですが、最近は子供たちも大きくなり、下2人をスイミングスクールに送り出す前に夕飯を食べさせ、その後に部活から帰ってきた長女、さらに残業して帰ってきた妻と夕食……のような、全員がそろわない日も出てきました。
電子レンジなら、下ごしらえさえしておけば、人数に合わせて毎回熱々の料理が提供できます。今後は温め直しだけではなく、調理器具としての電子レンジを積極的に使っていこうと思いました。
皆さまもぜひ、お試しあれ!
書いた人:飯炊屋カゲゾウ
1974年生まれの二女一男のパパ。共働きの奥さんと料理を分担。「おいしいものはマネできる」をモットーに、料理本やメディアで紹介されたレシピを作ることはもちろん、外で食べた料理も自宅で再現。家族と懐のために「家めし、家BAR、家居酒屋」を推進中。「双六屋カゲゾウ」名義でボードゲーム系のライターとして活動中。「子育屋カゲゾウ」名義で育児ブログも更新中。
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