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インドの米料理「ビリヤニ」を知っていますか…「重ね蒸し」で得られる軽い食感 - 読売新聞オンライン

 インド料理と言えば、カレーやタンドリーチキンなどの濃い味付けを想像しがちだが、あっさりと食べられるのが米料理「ビリヤニ」だ。巨大な鉄鍋で素材を「重ね蒸し」するのが伝統的な調理法で、チャーハンや日本の炊き込みご飯とも違った軽い食感が楽しめる。

 小さな商店や露店がひしめくニューデリーの市場にある専門店「シャヒ・チキン・ビリヤニ」を訪ねた。「シャヒ」はウルドゥー語で「皇帝」の意味だ。

 おじと共同で経営するメフズ・アフマドさん(19)によると、調理は半日がかりだ。インディカ米の高級品種で粒が長い「バスマティ」を水に20分以上浸しておく。シナモンやクミン、インド特有のバターオイル「ギー」を湯に入れ、とろみがつくまでかき回す。そこに米を加えて少し固さが残る程度までゆで、しっかり水を切るのがパラパラに炊き上げるコツだという。

 ツボのような形をした大鍋に、ターメリックやニンニク、唐辛子に約6時間漬け込んだ鶏肉と、下ごしらえした米を交互に重ねて詰める。サフランなどで色づけした水を垂らして約40分間蒸し上げれば完成だ。

 白っぽい米から味見すると、ほどよい塩味にスパイスの香りがからんでくる。ほろっとほぐれる鶏肉の味が移ったオレンジ色の米は、ピリッと辛くコクがある。スプーンですくう度に味が変化するので飽きないが、ヨーグルトにミントなどを加えた「ライタ」をかけると口直しにもなる。ハーフサイズ250グラムで110ルピー(約190円)と、懐にも優しい。

 祖父が約30年前に生み出した味を受け継ぎ、11歳から 厨房(ちゅうぼう) に立ってきたアフマドさんは、「ビリヤニは暑さを吹き飛ばすのにぴったり。伝統を絶やさずに守りたい」と語った。

 ビリヤニは、東南アジアや中東でもポピュラーな料理で、具材も様々だ。インドでは鶏肉の代わりにマトン(羊肉)を加えたものも人気で、沿岸部では魚の切り身やエビ入りも見かける。ベジタリアン(菜食主義者)向けには、ジャガイモやニンジンなどを加えてアレンジできる。

 「ビリヤニ」はペルシャ語の「いためた米」という言葉が語源とされている。由来には諸説あるが、ペルシャからの旅人らによってイスラム王朝ムガル帝国(16~19世紀)に伝わり、宮廷料理として発達したというのが有力だ。

 ムガル帝国の皇帝シャー・ジャハーン(1592~1666年)に深く愛された皇妃で、その墓地が世界遺産タージ・マハルとして残ったことで知られるムムターズ・マハルにまつわる伝説もある。ムムターズが兵舎で栄養不足の兵士を見つけ、料理人に栄養バランスの取れた食事を考えさせたところ、ビリヤニが生まれたのだという。

 かつては結婚式やお祭りでしか食べられない、ぜいたくな料理だったが、大鍋で一度に数十人分を用意できるため、近年は路面店のほかファストフードチェーン、宅配サービスなどでもおなじみの味となった。

 「シャヒ・チキン・ビリヤニ」近くの美容室に勤めるアテック・サルマニさん(23)は「仕事の合間にサッと食べられるので毎日ここに来ています」と話した。

 国内外の総支局長が、地域の自慢の味を紹介します。

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