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経験ゼロでも…… 恩返しの料理店、週2日営業でも途切れぬ客足:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

 小さな飲食店が並ぶ繁華街の狭い路地。水曜と土曜のお昼時にだけオープンするテイクアウト専門の店がある。シェプノフ・ヴィタリイさん(44)と妻の早坂真由美さん(42)の店「Borsch(ボルシチ)」。8月末に開いたばかりの店は、客足が途切れない。

 一番人気は、鮮やかな赤色の野菜ビーツとともに野菜や肉を煮込んだスープ「ボルシチ」。ギョーザのような「ヴァレニキ」も定番だ。

 ヴィタリイさんに料理人の経験はない。故郷の味を思い出しながら、手に入らない材料は似た食材で代用し、試行錯誤を続けている。

 タイで出会った2人は、2018年に結婚。真由美さんは翌年、故郷の仙台市に近い宮城県石巻市で「タイ古式マッサージ」の店を開き、来日したヴィタリイさんも加わった。

 日常が変わったのは、今年2月。ヴィタリイさんの故郷がロシア軍による侵攻を受けた。生まれ育ったウクライナ北部チェルニヒウでは爆撃が続いた。ヴィタリイさんを頼って4月に避難してきた母イリナさん(63)と祖母リディヤさん(87)には市営住宅が用意され、生活費も支給。お花やお菓子などのプレゼントも度々あり、子供たちのコンサートにも招かれた。

 夫婦の元には、ウクライナ国内に食料や医薬品などを届けるための募金も集まるようになり、ヴィタリイさんは支援団体に送り続けている。「東日本大震災の時にいろんな国や地方の人に助けてもらったから」。真由美さんは石巻の人たちから何度もそんな声を聞いた。

 自分にも何かできることはないか――。

 ヴィタリイさんが思いついたのは、アルバイト先だったワカメ漁師に振る舞ったウクライナ料理だ。「コロナと戦争の話ばかりでみんな疲れている。料理で笑顔になり、リラックスできる時間を提供したい」

 石巻市立町にある知人のバーを間借りして、8月末に店を開いた。

 9月7日。店の前には青と黄色ののぼりが立っていた。この日の主なメニューは、ヨーグルト風味の冷製スープ「オクローシカ」に、ジャガイモのパンケーキ「デルニ」、ヒマワリ油でキュウリやトマトをあえたサラダのセット。税込み1千円だ。営業時間の午前11時~午後2時半、お客はひっきりなしだった。

 市内の看護師の女性(45)は、本場の味を楽しみたいと来店。「戦争が一日も早く終わるように願い、自分も何らかの形で支援に協力したい」と話した。

 夫婦の夢は店を大きくすること。真由美さんは「職がなくて困っているウクライナ人避難者や留学生をスタッフとして受け入れたい」。ヴィタリイさんは「ウクライナの良さや文化も知ってほしい」と願う。

 料理の予約は、メール(borschjapan@gmail.comメールする)か電話(080・1146・2125)で。(原篤司)

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