「読んで気持ちが楽になった。」「人生を共にする一冊に出会った。」――発行部数30万部を超えるベストセラー「一汁一菜でよいという提案」。今、その料理哲学が多くの人の心を揺さぶっている料理家の土井善晴がドキュメンタリー番組「情熱大陸」(MBS製作著作/TBS系全国ネット、10月23日午後11時15分~)に登場する。
「一汁一菜」とは、ご飯と味噌汁、簡単なおかず(漬物など)で構成するシンプルな和食の献立。栄養価を重視した「一汁三菜」や、最高級のご馳走とされる「三汁七菜」などと対比される、昔懐かしい庶民の食事の在り方だ。
土井は、この「一汁一菜」を現代に再び広めた。日常の食事はご飯と具沢山の味噌汁で十分。味噌汁は出汁をとらなくてもいいし、具材には何を入れたっていい。土井の提案は、毎日の料理を億劫に感じていた人々の心を軽くする。
土井はなにも、慎ましい生活やダイエット食を勧めているのでない。
「人間がいまも自分の手で続けているのは料理だけ。料理することは自立した生活への一歩。一汁一菜でよいとなれば、誰にでも料理は始められる」
親しみやすいキャラクターと、誰もがつくりやすいレシピの紹介で人気を博してきた土井は、いま若者たちにも料理の楽しさや大切さを説いている。その教えは、いわゆる料理教室とは一線を画す。五感を使って料理すること、食材を通じて自然を感じること、つくる人と食べる人との関係に思いを致すこと。
取材中、土井がたびたび口にした「料理はええかげんでええんよ」という言葉は、レシピにとらわれず「適正な加減は自分で判断してほしい」という叱咤激励でもある。
番組では、国内外を忙しく飛び回り、インターネット配信なども駆使してメッセージを伝え続ける土井に密着。そこには、料理への愛情と敬意、そして危機感が溢れていた。
「無償の愛に裏打ちされた家庭料理には、暮らしのなかの大切なものが詰まっている」
この秋、土井は食の都フランス・リヨンを訪れた。一汁一菜の料理哲学を海外にも伝えたかったのだ。
チェ・ゲバラのエプロンが似合う65歳が見据える、家庭料理の未来とは。
<プロフィル>土井善晴(どい・よしはる) 1957年、大阪・住吉区生まれ。父は、料理学校を主宰し、戦後日本で家庭料理の礎を築いた故・土井勝。母も料理研究家。小学校の家庭科で代表して料理するよう求められるも、「簡単なものじゃないと知っていたから」断固拒否。大学在学中の20歳の時、プロの料理家を目指す。スイス、フランスでフレンチの修行、帰国後は和食の名店に弟子入り。一時、父の学校を手伝う。料理研究家として独立後、テレビ番組などで活躍。2016年の著書「一汁一菜でよいという提案」がベストセラーに。今年発売の自伝的エッセーも版を重ねる。Twitterのフォロワーは約70万人(2022年10月現在)。野球好きで、料理も「レシピ通りド真ん中に投げても面白くない。アウトコース低めギリギリ、ともすればボールになる、みたいなところに本当の美味しさはある」が持論。
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