黒曜石のナイフというものがある。博物館や資料館に行くと古い時代の展示物に黒曜石のナイフは並んでいる。黒く光り、意外に鋭く、よく切れるようにも感じられる。縄文時代の人々は黒曜石のナイフを料理などに活用していた。
実際に黒曜石のナイフはよく切れるのだろうか。ぜひそれを試してみたい。ということで、黒曜石のナイフを自分で作り、そのナイフで肉などを切ってみたいと思う。
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大好き黒曜石
カラスは光り輝くものが好きだと聞く。キラキラと輝くものに心を惹かれるのだろう。それは人間だって一緒だ。ダイヤモンドの指輪などは高価。キラキラ光るものを人類もまた求めているのだ。
私もそうである。黒曜石が大好きなのだ。石なのにキラキラ光り、上手く説明はできないけれど、ロマンを感じずにはいられない。子供の頃は小さな黒曜石をよく探していた。好きなのだ。
古い時代の人々はそんな黒曜石をナイフとして使った。槍先などにも使った。狩猟の道具として、切ったり削ったりする道具として、皮なめしの道具として、黒曜石のナイフは大活躍したのだ。
では、その力はどのくらいのものなのだろうか。現代の包丁のようにすっぱり切れたりするのだろうか。ということで、まずは黒曜石から黒曜石のナイフを作りたいと思う。
黒曜石の街「遠軽」
北海道・遠軽町の白滝にある「遠軽町埋蔵文化財センター」にやってきた。もちろん理由がある。白滝は日本最大級の黒曜石の産地なのだ。その埋蔵量は2億トンから5億トンと言われている。白滝遺跡群では掘れば掘るほど黒曜石のカケラが出てくるそうだ。
発掘された黒曜石のナイフなどが展示してある。いろいろな形があることがわかる。使い方や時代により形は変わる。北海道最古のものではあまり加工は見られないが、時代が進むにつれ鋭くなって行く。
この施設では石器づくりを体験できる。しかも300円という値段で。憧れの黒曜石のナイフを作れるわけだ。黒曜石が大好きな私にとっては聖地とすら言える。実を言うとここに来るのは2回目。黒曜石が好きなので何度でも来たい。
黒曜石のナイフを作る
300円を支払うと広い作業場に案内され、係の人が作り方を教えてくれる。黒曜石の板と鹿のツノ、足にかけるおそらく鹿の皮を渡されてナイフ作りは始まる。
黒曜石のナイフは鹿のツノで黒曜石を叩き割って作る。削るのではなく叩くのだ。黒曜石と会話しながら、ここを叩くとこう割れるよな、を考えながら鹿のツノで叩く。
黒曜石と会話しながら叩いたけれど、全然会話できていなくて、思うように割れなかった。係の方は会話できているようで、的確に叩く場所と叩く力を教えてくれる。私はシャイだから黒曜石と会話できないようだ。
平たい黒曜石からナイフのような形になっていくのが面白い。鹿のツノを振り下ろす力や角度で黒曜石の割れ方が変わる。偶然性もそこには多分に含まれるからドキドキする。
係の方には「これで肉とかを切りたい」と伝えてある。切れのいいものにしないといけませんね、といろいろ考えてくれた。20分くらいだろうか、ひたすら叩き続けた。
料理をする
黒曜石のナイフが完成した。完成したナイフと叩き割った際に出るカケラももらってきた。カケラの方が鋭い感じで切れる気がしたからだ。あと黒曜石が好きなので純粋に欲しかったというのもある。
黒曜石のナイフで何かを切るのは初めてだ。指導していただいたとて、素人の私が作ったものという問題はあるけれど、切れ味を知りたい。まな板まで切れたらどうしよう。
どこかで「どうせ」と思っていのかもしれない。包丁を扱うよう時のような慎重さでは、黒曜石のナイフを扱っていなかった。そしたら、指を切った。血が出るほどではなかったけれど、切った。やるではないか、黒曜石のナイフ。
子供用の包丁で切ったような感じだった。切れ味で切るのではなく、力で切るような感じ。そのために包丁で切った時のように平にはなっていない。ただ手でちぎるよりはスムーズに切れる気がする。
切れのいい包丁は一度でこれくらいの厚みならば切れてしまう。それは黒曜石のナイフ、少なからず私が作った黒曜石ナイフでは無理だ。何度も何度も少しずつ切っていく感じだ。写真はないけれど、この直後、突然トンビ的なのに切った魚をすべて持っていかれました。
豚肉を切ってみた。サーモンと同じでやはり一度で深く切れるわけではなく、何度も黒曜石ナイフを通して切っていく感じだ。ただ肉の脂だろうか、だんだんと切れは悪くなった。
切れ味で味が変わるような繊細な料理ではないので、黒曜石のナイフで切ったものも十分に美味しい。なにより外で食べているのが一番の美味しさの理由な気もする。そのためにサーモンはトンビ的なのに持っていかれたわけだけれど。
リンゴは黒曜石のナイフを作る際に出るカケラで剥いた。問題なく剥けた。狙って作った黒曜石のナイフでなくても切れるのだ。それが黒曜石の凄さ。私の腕では20分かけた黒曜石のナイフより、正直カケラの方が切れ味がよかったけれど、黒曜石ナイフは本来切れるのだ。
黒曜石に憧れて
黒曜石のナイフは博物館などで見るだけかと思っていた。ただ実際に作れるし、作るのは楽しい。極めればそれなりの切れ味があるはずだ。私の現状ではカケラの方が切れたけれど。今後の修行が大切だ。また作りたいと思う。楽しいから。
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