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茨城)コロナがむしばむ生活 生活保護申請は増加傾向 [新型コロナウイルス] - 朝日新聞社

 生活保護を受けていることは、友人には伝えていない。「テレビを見ていると、何かの拍子に涙が出てくる。生活保護だからと、あんまりしゅんとしないように心がけています」

 水戸市の女性(70)は、新型コロナウイルスの影響で収入が減り、5月に生活保護を受給し始めた。県営団地の一室。節約のために電気はつけておらず、日中も部屋は薄暗い。

 結婚式場の調理場で皿洗いのパートを続けていた。時給850円ほどで、年末などの繁忙期には1日10時間働くことも。昨年12月には約11万円を稼いだが、2月以降シフトは減り続けた。会社から休業補償金として月額約3万円が支払われているが、いつまで続くかは不透明だ。

 4年前、がんで夫を亡くした。約2700万円の借金が残った。昨年9月、自己破産の手続きが終わり、手元に残ったのは数万円。パート収入を頼りに、何とか生活してきた。

 4月の出勤がゼロになり、預金額は4万円になっていた。年金は月額5万5千円ほど。家賃や食費、光熱費など月々の支出をまかなえない。子どもを頼ることもできず、旧知の野党市議に相談した。生活保護の手続きのための書類を市議に作成してもらい、5月上旬に生活保護を申請した。

 求職活動を続けているが介護職が多く、体力を考えるとマッチする仕事がない。先々の不安で胸がおしつぶされそうになる。静かな団地の一室で、女性は「頑張らなくちゃ。もう少し社会の内側にいたい」と自分に言い聞かせる日が増えたという。

     ◇

 15日、参院決算委員会で共産党の田村智子議員が「『生活保護はあなたの権利だ』と政府が国民に向けて広報するときだ」と安倍晋三首相に質問した。

 首相は「文化的な生活を送る権利があるので、ためらわずに(生活保護を)申請してほしい」と答えるなど、積極的な活用を促す姿勢を示しているが、生活保護に対する偏見は根強い。花園大の吉永純教授(公的扶助論)は「これまで生活保護に関する政府や自治体の広報は、受給は権利であると明確に伝えず、窓口の消極的な姿勢を助長してきた」と話す。

 県内で生活保護の相談に応じてきた「水戸生活と健康を守る会」の中庭緋佐子事務局長(74)は「まだまだ他人の目を気にして、声を上げられない人は多い」と懸念する。「住民のつながりが濃い地域では、特に申請の壁が高いのでは」

 生活保護問題対策全国会議で事務局長を務める小久保哲郎弁護士は「欧州や韓国などでは、同様の制度の広報や啓発を法律で義務づけている。制度の名前も、『生活保障』と変えるべきだ。行政もマスコミも、こうした理念を理解した上で啓発に努めるべきだ」と話す。

     ◇

 「死んじゃうのかなと思った」「もう少し社会の内側にいたい」

 記者(23)は社会人1年目。取材にご協力下さった方々の切実な声に、初めて触れた。返す言葉が見つからなかった。

 生活保護に対する偏見や非正規雇用のあり方など、コロナ禍は、私たちがこれまで放置してきた社会のひずみを顕在化させていると感じた。

 「最後の安全網」が、必要とする人に届いているのか――。現場の声に耳を傾け続けながら、息長く報じていきたいと思った。(伊藤良渓)

新型コロナに関する生活困窮の相談先

首都圏生活保護支援法律家ネットワーク(048・866・5040)

水戸生活と健康を守る会(029・253・0030、水曜夜)

主な労働相談先

連合茨城・緊急労働相談(0120・154・052)

県就職支援センター

 いばらき(029・300・1715)

 県北地区(0294・80・3366)

 日立地区(0294・27・7172)

 鹿行地区(0291・34・2061)

 県南地区(029・825・3410)

 県西地区(0296・23・3811)

いばらき労働相談センター(029・233・1560)

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June 24, 2020 at 09:00AM
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