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社説 起訴状の匿名化 被害者保護を図りつつ - 信濃毎日新聞

 法務省が、性犯罪やストーカー事件の被害者について、起訴状や逮捕状で匿名にできるようにする法改正を検討している。

 性犯罪などでは、加害者と被害者に面識がないことが多い。氏名を知られて報復を受けたり、仕返しを恐れて告訴を諦めたりする事例が起きている。刑事手続きの中で被害者保護をどう図るかは大きな課題だ。

 刑事訴訟法は、逮捕状に容疑事実の要旨を記載し、起訴状にできる限り日時や場所、方法などを特定するよう求めている。

 被害者名についての規定はないが、誰がどんな被害に遭ったのかを明確にするため一般には氏名を記載している。加害者とされる側には、逮捕状の読み上げや起訴状謄本の送達の際に容易に知られてしまう状態にある。

 2012年に起きた神奈川県逗子市のストーカー殺人事件では、前年に県警が元交際相手の男を脅迫容疑で逮捕した際、被害者の結婚後の姓や住所の一部を読み上げたことが判明、問題になった。

 以降、警察や検察は、性犯罪などの被害者について、匿名にしながら特徴を表記するといった工夫を重ねている。一方で、冤罪(えんざい)防止の観点から氏名の記載を求める裁判官もいる。

 運用面でばらつきが生じているのが現状だ。起訴状や逮捕状で匿名にしても、署名と押印が必要な供述調書の扱いをどうするかなどの問題がある。

 被害者が再び被害に遭うリスクをなくすためには統一したルールづくりが必要だろう。

 同時に、刑事裁判には「疑わしきは被告人の利益に」の原則がある。冤罪を防ぐために被告の権利は守らねばならない。

 容疑や起訴事実を否認する場合、氏名を含めた被害者の情報は無罪を証明する重要な糸口になる。被害者が誰かを把握できないと、弁護人が正当な主張をできなくなる恐れがある。

 氏名の記載がなくても弁護人が問題なく主張でき、裁判官が正しく審理を進めていくにはどうすればいいか。検察官は、表記の工夫だけでなく、弁護人の証拠開示の求めに応じていくべきだ。

 被害者の匿名化は、16年成立の改正刑訴法の付則で検討が盛り込まれた。翌年の刑法改正で、性犯罪被害者の再被害への恐れに配慮すべきとの指摘を踏まえることと、国会が付帯決議している。

 被害者保護を図りつつ匿名化の流れが安易に広がらぬよう、慎重な検討を求めたい。

(9月8日)

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