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自宅前で調理も 料理・食品のお届けサービス多彩に - 日本経済新聞

CBINSIGHTS

料理や食品の宅配と聞くと、日本ではウーバーイーツの印象が強いかもしれない。世界ではスタートアップを中心に業界の裾野が広がり、内容が多彩になっている。飲食店の料理を運ぶだけでなく、自宅の前までキッチンカーで出向いて料理を作って手渡しするサービスや地元の一般家庭が作った料理を届けるサービスも登場している。CBインサイツが食品・料理宅配業界に参入するスタートアップの動きをまとめた。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

食品・料理宅配業界はここ2年、人手不足やサプライチェーン(供給網)危機など大きな圧力にさらされている。それでもなお、この業界は成長を続けている。2021年の資金調達額は前年比131%増の284億ドル(約3兆8000億円)と過去最高を記録した。半分以上は既存分野に創造的破壊をもたらし、未開拓市場に手を広げているアーリーステージ(初期段階)の企業に投じられた。

こうした新興勢は様々な方法で顧客に多彩な品ぞろえや新鮮な食材、短時間での配達などを提供している。例えば、米ニューヨークに拠点を置くメルカート(Mercato)は地元の専門食料品店の宅配代行サービスを手掛ける。消費者には新たな商品、小規模企業には宅配手段を提供する。

一方、宅配専門のキッチン設備「ゴーストキッチン」の分野では、米ワンダー(Wonder)が有名なレストランやシェフと提携し、キッチンカーで調理したメニューを届ける。

今回はCBインサイツのデータを使い、食品・料理宅配を変革しようとしているアーリーステージの企業約60社を抜き出した。

この図は未上場の存続企業のみで構成され、この分野を網羅してはいない。カテゴリーは一部重複しており、企業を主な活用事例に応じて配置している。21年1月~22年4月にシード/エンジェルまたはシリーズAで500万ドル超を調達した企業を記載している。

カテゴリーの内訳

食品のネット通販:食品のネット通販は既存大手に加えて食料品店も参入し、すっかり定着した。だがアーリーステージの企業はなお新たな地域にサービスを提供し、他社にはない商品を提供しようと模索している。

このカテゴリーにはコミュニティーでの共同購入サービスを運営する企業も含まれる。これは中南米やアジアで人気の高い食品ネット通販の形態で、こうした地域では農産品をコミュニティーで大量に仕入れ、SNS(交流サイト)で安く販売する。コロンビアの共同購入アプリMuniがこの分野で最も調達額が多い(2700万ドル)。

米国の消費者に他社にはない品ぞろえを提供している企業もある。米ハイブ(Hive)は持続可能な商品、米ウマミカート(Umamicart)はアジアの食品に特化している。

オンデマンドデリバリー:オンデマンドプラットフォームは素人の配達員を採用し、食料品店や飲食店の代わりに買い物客に注文品を届ける。従来は食品と料理の宅配は分かれていたが、各社は米ウーバーイーツや米ドアダッシュなど業界大手の戦略に倣い、両方に対応するようになっている。

例えば、ベネズエラのヤミー(Yummy)は食料品店や飲食店、薬局などの配達代行サービスを提供する。同社は21年7~9月期、シリーズAで1800万ドルを調達した。

即配:注文を受けた商品を自社倉庫から調達することで、15~20分での配達を約束するスタートアップ。即配業者の多くは顧客により迅速に対応し、アプリを通じて正確な在庫情報を提供するために、人工知能(AI)を活用した在庫モニタリングを導入し、配送センター機能に特化した小型店舗「ダークストア」を地域に点在させている。

この分野の多くの米企業は撤退したが、他の地域ではなお人気だ。例えば、インドネシアのASTROは国内の主要都市でサービスを提供する。同社は21年の事業開始以降、3150万ドルを調達している。スウェーデンのKavallはスウェーデン、ノルウェー、フィンランドの各都市で事業を展開している。

アルコール宅配:アルコールの宅配を中核事業にしている企業。多くは質問や専門家の支援など、買い物客が適した商品を見つけやすくする機能も提供している。例えば、米アンダーグラウンド・セラー(Underground Cellar)は高級ワインを専門に扱う。顧客のワインを保管し、依頼に応じて宅配するサービスも提供している。同社は21年4~6月期のシリーズAで1250万ドルを調達した。

一方、カナダのグッドグッド(GoodGood)は地元産のビールやワインに加え、つまみになる冷凍食品も配達する。同社は21年10~12月期のシードVCラウンドで500万ドルを調達した。

ゴーストキッチン&バーチャルブランド:ゴーストキッチンとバーチャルキッチン(実店舗がある飲食店の名を冠した宅配専門店)のどちらか一方または両方を運営するスタートアップ。飲食店は宅配により商圏を広げ、注文に応じた分だけ収入を増やせる。

例えば、ワンダーは有名レストランやシェフと提携し、キッチンカーのゴーストキッチンを利用者の家の前に止めて調理・配達する。同社は21年4~6月期、シードVCのメガラウンド(1回の調達額が1億ドル以上のラウンド)で4億ドルを調達した。ワンダーはこのラウンドで、米アクセルや米グーグル・ベンチャーズなどの投資家から10億ドルの評価を受けた。

ミールキット:新型コロナウイルス禍により消費者がさらなる食品配達手段を求めるようになったため、ミールキットが復活した。大手ブランドの多くは上場したか既存の食品メーカーに買収されたが、自宅にいながらにして便利な食事体験を提供するために、新たな企業がなお登場している。

米シェフ(Shef)や米ウッドスプーン(WoodSpoon)は、地元の一般家庭の料理上手な人が作った温かい料理や温めなおすだけで食べられる料理を顧客に届ける。米タイニーオーガニックス(Tiny Organics)や米リアルイーツ(RealEats)のような乳幼児専用のミールキットも弾みが付いている。

サブスクリプション(継続課金):自動更新のサブスクサービスを通じて、顧客に利便性と新たな商品の発掘をもたらすスタートアップ。多くはアラカルト商品や詰め合わせセットも手掛けている。対象分野は乳製品から海外のスナック菓子まで多岐にわたる。

米テネシー州ナッシュビルに拠点を置くポーターロード(Porter Road)は、持続可能な食肉専門のサブスクサービスを手掛ける。同社は21年のシリーズAで1000万ドルを調達した。米ミルクラン(MilkRun)も持続可能性を重視しているが、乳製品やコーヒーなど地元の様々な食材のサブスクサービスも提供している。同社の調達総額は600万ドル。テキサス州オースティン、オレゴン州ポートランド、ワシントン州シアトル地域でサービスを提供している。

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