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〝蹴球料理人〟西シェフの戦い サムライの胃袋支え、W杯5大会目へ - 産経ニュース

カセットコンロとクッキングヒーターを使って、選手に人気のペペロンチーノを「ライブクッキング」でつくる西芳照シェフ。選手に温かい料理を振るまうための心づかいだ=8月30日、福島県いわき市

11月開幕のサッカーワールドカップ(W杯)カタール大会で8強入りを目指す日本代表には、選手から愛される〝おふくろの味〟がある。福島県でレストランを経営する西芳照さん(60)は2004年から日本代表の専属シェフとしてチームに同行し、選手の胃袋を支え続けている。自身5度目のW杯となるカタール大会を前に、「今まで成し遂げられなかったベスト8以上の成績を残すため、少しでも力になれるように頑張りたい」と決意を口にする。

食文化が大きく異なる史上初の中東開催だが、百戦錬磨のシェフには余裕が漂う。「現地で働く日本人も多く、すごくフレンドリー。言葉も通じるし、食材はなんでもある。ノープロブレム(問題なし)です」。これまで200回以上の海外遠征を経験し、カタールでは11年アジア・カップで日本の優勝をサポートした実績もある。疲労回復効果が高いとされる豚肉はイスラム教国家で食べられないが、鶏肉と牛肉のほかに今回は羊肉を用意。味の決め手となるしょうゆ、みりんもアルコールを含まないハラル(合法)商品を現地調達して対応するという。

生まれは福島県南相馬市。京懐石料理店で修行を積んだ後、1997年に故郷に開設されたサッカー施設「Jヴィレッジ」に就職したことが縁で、〝蹴球料理人〟としての人生が始まった。

得意とするのは、選手の目の前で調理する「ライブクッキング」。きっかけは就任直後の2004年3月、2年後のW杯ドイツ大会に向けたアジア予選での出来事だ。選手が去った食事会場、せっかく用意したステーキやパスタがほとんど手つかずのまま残っていた。食事は選手が来る30分前にセットするため、「1時間前には出来上がる。温蔵庫に入れておいても、見た目がおいしくなかったんでしょう」と考えた。

それ以降はカセットコンロとクッキングヒーターを食事会場に持ち込み、オムレツやパスタ、ステーキなどを出来立てで提供することにした。極度の緊張が付きまとう大会中でも、視覚や嗅覚を刺激して選手の食欲をかきたてる効果もある。パスタは多い日で1日8キロ消費するようになり、「その差は歴然。われながらいい仕事しているなと思います」とはにかむ。

10年W杯南アフリカ大会では酸素濃度の低い高地での試合に向け、鉄分を多く含むひじきやほうれん草を使った料理を提供。「体に酸素を運ぶヘモグロビンを増やして、選手の皆さんが息切れすることなく試合ができた」と、16強進出に貢献した自負がある。

90分間を走り切るための栄養バランスはもちろん、食べ飽きないよう日々献立を変える工夫も忘れない。「赤、黄、オレンジの3種類のパプリカを用意して」という元日本代表FW本田圭佑からの要望や、「パスタにサバを入れてほしい」「朝はスムージーが飲みたい」といった選手のリクエストにはできる限り応えるようにしている。「あれがなかったから負けたなんて、言われたくないですから」

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