両親の死を乗り越え、思い出の中華料理店に同行…SNSで話題「レンタルなんもしない人」さんに聞いた - 神戸新聞NEXT

「『子供の頃から両親とよく行ってた中華に同行してほしい』との依頼。
『中華だけは外食のほうが美味しい』とよく連れていかれた思い出の店だが
両親の他界後1人になってからは鬱（うつ）になり行かなくなってしまってたらしい。
いろいろ注文し2人でシェアして食べた。久々の街や味を確認できたようで何よりでした」

依頼者に寄り添い「なんもしない」サービスを提供する「レンタルなんもしない人」さん（@morimotoshoji）。「子供の頃から両親とよく行ってた中華に同行してほしい」という依頼があったとTwitterに投稿したところ、1.5万件のいいねがつき話題になりました。

「レンタルなんもしない人」さんによると、解散後の翌日に依頼者さんからこんなお礼のDM（一部抜粋）が届いたとか。

「･･･昨日の中華料理店は両親との平和な楽しい思い出のひとつでした。･･･母は心筋梗塞（しんきんこうそく）で突然に亡くなり、父は癌（がん）で亡くなり、その頃から鬱病になりました。1人になり、この10年は仕事と家の往復で廃人の様になってました。今年のはじめから少しずつ旅行や外食もできる様になりました。もっと早くレンタルさんを知っていればもっと気持ちを強く持てたかもしれません。ありがとうございました。･･･」

そんな依頼者さんの思い出の中華料理店に付き添った「レンタルなんもしない人」さんの仕事ぶりに「なんもしてないようで、程よい距離感で寄り添ってますね」「誰かを救える仕事っていいなと思いました！」と感心する人たちが続出。

そして･･･両親を亡くしてつらい思いをした依頼者さんが喜んでいることに「レンタルさんが家族になってくれたみたいで依頼者さんも喜ばれたんでしょうねきっと...」「生きてて良かった」と心をほっこりさせる人たちなどからたくさんのコメントが寄せられています。

多くの人たちを感動させた中華料理店の同行依頼。今回、思い出の味に付き添った「レンタルなんもしない人」さんに聞いてみました。

■黙々と食べていたという依頼者･･･両親との楽しい思い出の味をかみしめていた？

－－依頼者さんの思い出の中華料理店。六本木にある老舗店「香妃園（コウヒエン）」ですね。いろいろ注文し2人でシェアして食べたそうですが、どんなものを食べられた？

「僕が注文したわけではないのでよく分かりませんが、一番のお目当ては『鶏の煮込みそば』だったようです。あとはチンジャオロース的なものや、エビとブロッコリーの炒め物的なものだったと思います」

－－食事をされているときの依頼者さんの様子は？

「黙々と食べていました」

－－きっと思い出の味をかみしめていたのかもしれませんね。解散後の翌日にお礼のメールが･･･。ご両親を立て続けに亡くされた後、闘病されていたとのこと。そんなつらい時期を乗り越えて中華料理店で食事ができたことに喜んでおられたようですね。

「何よりだなと思いました」

－－依頼者さんの思い出の味は？

「おいしかったです」

－－今回のように食事の同行依頼は多いそうですが、これまでどんな理由での同行依頼がありますか。

「1人だと心細い、1人だといろんなものを注文しづらい（食べきれないから）、1人だと味の感想などを声に出して言えない。あるいは、行ってみたいお店があるけど人と一緒に行く約束をしないとなかなか行けない、人とご飯を食べるのが苦手なので克服したい、女性1人で飲み食いしてるとおじさんに話しかけられたりナンパされることがあるので男性に横に座っててほしい、1人だと店員さんにやたら話しかけられるのでもう1人座ってもらって防波堤にしたい･･･などさまざまです」

両親との楽しい思い出の味を「レンタルなんもしない人」さんに付き添ってもらった依頼者さん。またうれしい思い出ができて良かったですね。

（まいどなニュース特約・渡辺晴子）

2023/1/8

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