初心者でも簡単な「鶏団子の照り煮」「鶏団子とタケノコの煮物」の作り方を伝授します
在宅勤務などによって、家で料理をする人が増えたのではないでしょうか。料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番の料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作る方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する連載『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。
今回は、安価でさまざまなアレンジをしやすい「鶏団子」の作り方と、それを使った「照り煮」「タケノコの煮物」です。
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「鶏団子」で料理のマンネリ化を防げる
料理の悩みの1つが「マンネリ化」。手に入りやすい食材──例えば豚のコマ切れ肉と鶏むね肉を煮たり、焼いたりしているだけだと、次第に飽きてきます。そこで今回、お教えするのが「鶏団子」です。
鶏団子は鶏のひき肉に副材料を加え混ぜ、火を通したもの。プレーンな味なので合わせる食材を選ばず、鶏団子が1つできれば照り煮、煮物、揚げ物、焼き物、あるいは鍋料理という具合に展開が広がります。火を通してしまえば冷凍保存できるのもメリット。一度にある程度の量を仕込んで、冷凍しておくと便利です。
なによりの長所は「材料が安価」という点。鶏むね肉のひき肉(解凍品)であれば100g約100円〜120円で買えるはずです。ただ、鮮度が落ちやすい食材なので、ほかのひき肉よりも賞味期限が短く設定されています。なるべく回転のいいお店で、パックの底にドリップがたまっていないものを選びましょう。
まずご紹介するのは、基本の照り煮です。照り煮はご飯のおかずなので、濃い味に仕立てます。単独で食べる場合は塩やしょうゆを控えるなど、調整してください。
照り煮の材料(2人分)
鶏ひき肉 150g
塩 0.8g(小さじ1/8)
片栗粉 大さじ1
酒 大さじ1
玉ねぎ 40g(1/6個)
水 150ml
砂糖 大さじ1
みりん 大さじ1/2
しょうゆ 大さじ1+1/2
スーパーに行くと鶏ひき肉は「むねひき肉」と「ももひき肉」の2種類が売られていますが、鶏団子にはどちらでもかまいません。鶏ひき肉を扱うときはドリップを散らさないように注意しましょう。調理台にこぼれたら布巾で拭くのではなく、キッチンペーパーで拭き取り、アルコールを噴霧するのが基本です。とはいえ、鶏肉の安全を脅かす菌は加熱や乾燥に弱いので、必要以上に恐れることはありません。
まずひき肉に塩を加え、ざっくりと練ります。この後、タレを絡めるので塩の分量は控えめにしていますが、省略すると加熱した鶏団子がパサつくので最低分量と思ってください。一般的に市販されている鶏ひき肉は冷凍解凍品なので、細胞が壊れています。そのため、すぐに塩が混ざるので、一生懸命練る必要はありません。
塩は味付けとしっとり感を出す2つの意味があります
使い捨ての調理用ニトリル手袋をしたほうが作業は楽です
玉ねぎのすりおろし、酒、片栗粉が入ります。玉ねぎは甘みと風味を加えるため、酒は水分を補い、片栗粉はそれを吸ってゲル化し、肉汁を内側にとどめてくれます。好みで生姜のみじん切り、青ネギの小口切りなどを加えてもいいでしょう。
玉ねぎのすりおろしはみじん切りでもかまいません
ひき肉に対して10%〜15%の溶き卵を加えると、増量にもなるほか、硬くなるのを防いでやわらかくします。しかし、今回は使っているひき肉が150gと少ないので、省略しました。それでも十分においしくできるので大丈夫。
ゴムベラなどでさっくりと混ぜましょう。
時間に余裕があれば冷蔵庫で20分以上冷やすと扱いやすくなります
小鍋に煮汁を合わせ、中火で沸かします。液体の量がある程度ないと丸い鶏団子にならないので、お手持ちの鍋が大きい場合は煮汁を倍量に増やすなどして対応してください。
14cmの小鍋を使っています
煮汁が沸いたら弱火に落とし、鶏団子をつみ入れます。左手でひき肉をつかみながら、人差し指と親指でつくった輪で絞るようにして丸い形を整え、スプーンですくい取り、煮汁に落としていきます。
2本のスプーンで形を整えても大丈夫です
グツグツ沸かないよう静かな火加減で鶏団子にゆっくりと火を通していきます。
ときどき、団子を転がしてあげましょう
10分経ったら一度、鶏団子を取り出しましょう。
冷凍保存する場合はこの段階で
火を強めて、中火で煮汁を煮詰めます。どのくらいまで煮詰めるか、で味の濃淡が決まります。スプーンで味見して好みの加減にしましょう。鶏団子を取り出して煮詰めることで、ふっくらとした食感が残ります。
とろみはつけていないので、さらっとした煮汁です
好みの味になったら鶏団子を戻して、絡めます。煮汁に砂糖だけではなくみりんが入っているので、表面に照りが出てきました。砂糖=ショ糖と比べるとみりんには複数の糖が入っているので、それが照りを生みます。
煮汁を煮詰めずに水溶き片栗粉でとろみをつけてもいいでしょう
出来上がり。ご飯のおかずになるしっかり味の鶏団子です。
鶏団子の作り方はひき肉に副材料を加えて混ぜる→ゆでる→取りだす、の3ステップ。ゆでてからフライパンで表面を焼けば焼き鳥のつくねのようにも仕立てられますし、ゆでる代わりに油で揚げると揚げ団子に……という具合に変幻自在です。
お弁当に入れる場合は平らなバットなどに広げ、なるべく早く冷ましましょう
ひき肉は水のなかで加熱すると水溶性タンパク質と一緒に旨味成分が溶出します。そのため、照り煮の場合は濃い味で加熱していますが、淡いだしで加熱すると鶏の味が外に出るので汁がおいしくなります。それを利用したのが鶏団子を入れた煮物です。
今日は旬のタケノコとあわせてみましょう。
鶏団子とタケノコの煮物の材料(2人分)
鶏ひき肉 150g
塩 1.5g(小さじ1/4)
片栗粉 大さじ1
酒 大さじ1
玉ねぎ 40g(1/6個)
だし 300ml
うすくちしょうゆ 大さじ1
みりん 大さじ1
たけのこ 100g(水煮)
煮汁の割合が異なるだけで、鶏団子の基本的な作り方は同じ。だしは昆布、鰹節、合わせだし、煮干しだしなど好みのものを使ってください。顆粒だしを使う場合は鶏からうま味が出ることも考慮し、量は控えめに。
調味しただしで鶏団子を摘み入れていきます。
やはりグツグツ煮立てないように注意
1.5cm厚のくし形に切り、2〜3分下ゆでしたタケノコを加え、一緒に10分加熱します。
18cmの鍋を使っています
ことこと10分炊いたら出来上がり。可能であれば冷ますと味がなじみます。
たけのこの根本の部分は輪切りにしてもいいでしょう
仕上げに三つ葉やせりなどの緑の野菜をさっと煮るか、あるいは木の芽などを盛ると雰囲気が出ます。タケノコは香りと甘みはありますが割合淡白なので、鶏の味が入ることでおいしくなります。
煮汁がおいしいので、鉢にざっくりと盛りましょう
料理の幅を広げるにはレシピをたくさん集めるのではなく、作り方を1つ覚えると応用範囲が広くなる料理を習得したほうが効率的です。そういう意味で鶏団子はいい料理だと思います。
(写真はすべて筆者撮影)
(樋口 直哉 : 作家・料理家)
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