守備の奮闘を示す「クリア」というプレーデータ。Jリーグ公認の「J STATS」によれば、今季のJ1アルビレックス新潟はリーグ戦で最多の213回を数える。ここで言うクリアとは「外に蹴り出して陣地を回復させるなど、味方につなぐ意図がなく危険な状態の回避を目的として行ったプレー」。ただ、ボールを大事にするスタイルの新潟としては、味方につなぎたくてもつなげない、いわば「パスミス」が積み重なった結果のようにも思える。
相手の攻撃を跳ね返したはずが中途半端になり、セカンドボールを拾われて2次、3次攻撃を受ける。クリア数は増えてもピンチは続く。「それを重ねれば重ねるほど、失点の確率が高くなる」と松橋監督。しっかり跳ね返し、文字通り相手の攻撃を「クリア」したとしても、その多さは新潟として好ましくない。実際にそうした形からの失点も目立つ。
2-3で逆転負けした19日のルヴァン杯1次リーグ柏戦。相変わらず90分通した戦いに課題を残した。だが、リーグ最多の「クリア」に関しては変化が見られ、跳ね返したボールが味方への「パス」になるシーンが何度かあった。
前半42分、DF早川がロングボールを相手と競り合いながら頭で前方へ「クリア」。それが味方につながって逆襲に転じることができた。このシーンのように「クリア」が「パス」に変われば、一気に攻守が切り替わり、新潟の武器の1つであるカウンターもより生きるはず。さらに上を目指して、1つ1つ課題をクリアしていきたい。【石川秀和】
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