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特集「キャッチ」97歳料理研究家・桧山タミの料理と生き方|福岡・佐賀のニュース|FBS福岡放送 - FBS福岡放送

特集「キャッチ」97歳料理研究家・桧山タミの料理と生き方

福岡 2023/06/07 17:48

特集「キャッチ」は、現在97歳の料理研究家・桧山タミさんの物語です。タミさんは約60年にわたり、福岡市で家庭料理の教室を開いていました。口癖は「がんばらんでいいよ」です。その料理と生き方は、台所に立つ人たちの心をひきつけてやみません。

あなたにとって、いつも通りのごはんの支度ですが、どんな思いで台所に立っていますか?それぞれの家庭の味は、人生を優しく包み込みます。

そんな家庭料理の奥深さを伝え続けてきたのが、料理研究家の桧山タミさん(97)です。福岡市で料理教室を開いたのは、いまから60年以上前のことです。タミさんに教わった生徒は、これまで1000人以上もいます。

高校生に魚料理を教えた時、うまくさばけない姿を見たタミさんは、次のように伝えます。

■高校生
「もう誰も結婚してくれんくなるも~ん。」
■桧山タミさん(97)
「いいって、あなたと同じくらいの人がいるから。」

■タミさん
「(魚)1匹をギャーって言っていたけど、だんだん上手になって。(料理を)させればいいんですよ。下手でも上手とかおいしいって褒めて、そんなにしてみんな上手になってきたと思うんです。」

自称“食いしん坊”のタミさんは、「おいしいものを食べたい」という一心で、料理や食材はもちろん、その歴史や文化まで幅広く研究してきました。2019年、94歳で現役を引退し、いまは息子が住む大分で暮らしています。

そんなタミさんが使っていた道具やレシピを紹介する展示会が、福岡市のデパートで開かれています。タミさんの口癖をテーマにした、“がんばらない”台所展です。

料理を通して生徒たちに伝えた暮らしの知恵や心配りにもふれることができます。クラウドファンディングで資金を募り、展示会を実現させたのは、タミさんの生徒たちです。企画した田中文さん(55)は、講演会など仕事のサポートもしていました。

■田中文さん(55)
「もったいないんです。桧山塾、このまま閉じるのは。どうしてももったいないんですよ。みんな手伝ってくれている人は、そうだと思う。自分たちが桧山塾で助けられて励まされているから。先生の元気なうちに。」

会場に再現することになったのは、タミさんの台所です。大事に使い込まれた調理道具は、約300点以上もあります。中でも、タミさんのお気に入りは銅鍋でした。熱伝導率が高く、食材のうまみを残したまま料理を仕上げることができるといいます。何十年も使い続けているのに、ピカピカで手入れが行き届いています。

■田中さん
「先生が、みなさんにいつも言っていたのは、『鍋ってみんなが温まるじゃない』って。『自分だけじゃなくて家族全体が温まる』って。『ブランドバッグよりも鍋がいい』って。」

『流行のバッグは一時的な幸せ よい鍋は一生の幸せ 桧山タミ』

「タミさんの料理から生き方を教わった」と話す、田中さんが料理教室に通い始めたのは、いまから約20年前です。一人娘を育てながら、家庭と仕事の両立に悩んでいる時でした。

■田中さん
「うちの母は、おやつを手作りで作ってくれたんですよね、専業主婦だったし。だけど(私は)夜遅いから作る暇とかないですよね。」

そんな田中さんに、タミさんがかけた言葉は『おにぎりでいいじゃない』でした。

■田中さん
「『おにぎりでいいんですか?』って言ったら『子どもを守るには別にお菓子じゃなくていいのよ。子どものいのちと健康を守る一番、最短距離でいいじゃないの。おにぎりで子どもは上手に育つわよ』って言われたんですよ。ほんとはね、がんばってでも子どもに伝えたい思いとかがあるんですよ。でも、自分ではなかなか時間とかができなくって。だけど、先生が“がんばらないでいい”。そこじゃないのよって。」

それから毎日、おやつ代わりにおにぎりを握り続けました。

■田中さん
「娘が18歳で東京に行ってしまう時に、ガランとした部屋に1枚紙が残っていたんですよ。“18年間楽しかった”って書いてあったんですね。“今までありがとう”って。」

大学生になって一人暮らしを始めた娘が、彼氏に作ったお弁当には、おいしそうな“おにぎり”があったといいます。

『握った人の思いが 大切な誰かの心も満たしていく 桧山タミ』

台所に立つ人の心のよりどころになってきたタミさんのメッセージは、いまも、多くの人たちの心に響いています。

■20代
「料理自体は好きなのは好きなんですけれど、毎日、台所に立つとか1人分作るのとかが、ちょっとおっくうだなってやらなかったので。自分のために作る料理をちょっと頑張ってみたいなと。」

■30代
「まだ結婚して日が浅いので、毎日料理はしているですけれど、何を作ろうっていうのでまず悩むので。自分が楽しめる料理がしたいなって。」

■タミさん(西部ガスのCMより)
「大変って思うと、ご馳走やないよって言ったっち。だけね、楽しんで作ったのはご馳走って。あたし、頑張らんでいいよって言って。そうか!誰が食べると?学校行くと?学校までおいしくなれ、行くときにおいしくなれ、おいしくなれって言ったらちゃんとおいしくなります。握るとなにが違うんでしょ。エネルギーが入ってくるのとこないのの差かなっていう位で。思いって通じるんですよ、かならず。」

タミさんの台所から生まれたレシピは、数千種類以上あります。それは、人生がおいしく豊かになる“幸せのレシピ”だったのかもしれません。

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