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新型コロナウイルスの影響による収入減や失業で、生活に困窮する人が増加する中、生活保護などの公的支援を頼る人も増えている。しかし、自治体の窓口で追い返されたり、希望が通らなかったりといった声は後を絶たない。東京都新宿区内の炊き出し会場で話を聞いて回ると、悲痛な声が聞こえてきた。(中村真暁)
◆望まぬ地域に連れられ
収入が少なく、神奈川県内のネットカフェや友人宅を転々としてきた40代の女性が、地元自治体の福祉事務所で生活保護を申請したのは5月末。アパート住まいを希望したが、何の説明もなく車に乗せられ、都内の多摩地区にある社会福祉施設に連れられた。この自治体にある施設を運営するNPOの別施設に入れられたとみられる。
女性は縁もゆかりもない地域で困惑。部屋は個室だが、天井はカビで真っ黒だった。その後、生活保護費の受給が決まり、福祉事務所を再び訪れ地元のアパートに住みたいと訴えたが、「都内で働けばいい」と受け入れられなかった。
保護費から施設利用費や朝夕食費を抜かれて手渡されたのは月2万7000円。なじみのない都内ではなく、地元で就職活動をしたいが、そのための交通費もばかにならない。昼食を抜くなど節約するが、「生理用品も買えず、血を流すしかない。ぎりぎりのところで、生きています」。落ち込んでいる様子だった。
この自治体の担当者は取材に「本人に説明もなく施設へ連れて行く運用はしていない」としている。
◆「役所は期待できない」
路上で5年ほど生活する男性(54)は5月、居場所を失った困窮者にホテルを提供する都の救済事業を利用しようとしたが、訪れた自治体の窓口で「ネットカフェ利用者の事業だから」と断られた。路上生活者の自立支援事業もあるが、今も路上で暮らす。「役所なんて期待できない」と吐き捨てた。
生活保護法では本人の意思に反し、施設入所させることを禁じているが、女性のように施設に入り、なじめず逃げ出したり、ひどい対応を受けて追い返されたりといった声は多い。ある福祉事務所の男性職員は「申請者を追い返す『水際作戦』などをする自治体があると、しっかり対応している自治体に人が集中してしまう」と愚痴をこぼす。
新宿区内の炊き出しを開いた認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の大西連理事長によると、窓口で制度利用を拒まれた声が多く聞かれると指摘。こうした対応で、「制度利用を遠ざけ、自立を妨げ、生活基盤の安定とは程遠い状態に陥らせるリスクをはらむ。自治体には1人でも多く支えようという態度で積極的に動いてほしい」と求める。
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