Search

社説(6/7):コロナと公文書/震災時の反省を忘れたのか - 河北新報

社説

コロナと公文書/震災時の反省を忘れたのか

 市民の生活がどん底に転落しかねない非常時に、国の対処方針はどう決められたのか。危機管理のありようを検証し、将来に備えるために欠かせないのが公文書だ。
 政府が新型コロナウイルス対策を検討する専門家会議の議事録を作成していないことが明らかになった。
 政府は3月、行政文書管理ガイドラインに基づき、コロナ対応を国家・社会として記録を共有すべき「歴史的緊急事態」に初めて指定した。にもかかわらず、怠ったのだ。
 「森友・加計(かけ)学園問題」の際も国有地売却に関する文書を残しておらず、批判を浴びた。安倍政権は公文書の意義を理解しているのだろうか。記録保存の重要性を軽んじていると言わざるを得ない。
 国会などで追及を受け、菅義偉官房長官は会議の速記録を元に議事録作成を検討する考えを示した。公文書は国民に開示されてこそ、政策決定の過程が分かる。国民の「知る権利」に応える責務を果たし、会議の初回分から議事録を作り、公開すべきだ。
 専門家会議を巡っては、議論の内容を記した議事概要が公開されているが、発言者名はなく、賛否など議論の流れは確認できない。
 行政文書管理のガイドラインは、議事録を残すのは「政策の決定または了解を行う会議等」と明記する。政府は専門家会議はこれに該当しないと判断し、活動の進捗(しんちょく)状況や確認事項を記した議事概要などの作成にとどめた。
 専門家会議は感染症や公衆衛生の専門家、法律家らがメンバーだ。政府のコロナへの基本的対処方針を議論する諮問委員会にも参加している。
 国内の感染状況を分析し、「三つの密」を避けることなど予防策を提言してきた。政策判断の根拠となる極めて重要な役割を果たしているのは明らかだ。
 公文書を公表しない際に多用されるのが、発言者が特定されない方が自由に議論できるとの判断だ。
 しかし、専門家会議の尾身茂副座長は5月29日の会合後、「議事録は政府が決めて(発言者の)名前を出すのなら全然問題ない」と述べた。
 コロナ対応は多くの人々の自由や権利を制限し、社会経済活動に大きな影響を及ぼす。国民の理解と協力が必要だ。発言者も重要な情報だ。積極的な情報開示が不可欠である。
 「歴史的緊急事態」は、東日本大震災後の政府会議の議事録を当時の民主党政権が作っていなかったことから、文書管理のガイドラインに規定した経緯がある。
 政府はその時のやりとりを忘れてはいまい。民主党政権の文書管理を「ずさんだ」と批判したのは自民、公明両党だ。震災から9年が経過し、今また未曽有(みぞう)の危機に見舞われている。反省は風化してしまったのか。教訓をおろそかにしてはならない。

2020年06月07日日曜日


Let's block ads! (Why?)



"文書" - Google ニュース
June 07, 2020 at 04:08AM
https://ift.tt/2XDCz4t

社説(6/7):コロナと公文書/震災時の反省を忘れたのか - 河北新報
"文書" - Google ニュース
https://ift.tt/38AepLw
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

Bagikan Berita Ini

0 Response to "社説(6/7):コロナと公文書/震災時の反省を忘れたのか - 河北新報"

Post a Comment

Powered by Blogger.