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ベトナム料理店での涙のわけ 借金、仕送り ごめんな、みんな仲間や - 朝日新聞デジタル

現場へ! 町工場にて、共生②

 その涙は8年前、大阪府東大阪市ベトナム料理店で流れた。

 「三島硝子(がらす)建材」の面々がテーブルを囲んでいた。社長夫婦とベトナムからの技能実習生4人。実習生は1年目と2年目の2人、もうすぐ3年の期限がきて祖国に帰る2人だった。

 とつぜん、ベトナムに帰る1人が、叫んだ。

 「ボクたちはバカじゃない」

 三島硝子は1970年創業。窓、網戸などを、アルミサッシでつくっている。オーダーメイドなので職人の高い技術が要求される。

 三島圭四郎(52)は長男である宿命から逃れられず、リーマン・ショックの2年後の2010年、2代目社長になった。ガクンと減った仕事を懸命な営業で挽回(ばんかい)した。

 その分、従業員には過酷な労働を強いてしまった。ヘトヘトで、ひとり、またひとりとやめていく。人を補充する。けれど、圭四郎は、いつやめてしまうかビクビクしていた。

 そんなとき、耳寄りな話を聞いた。ベトナムの実習生は3年、やめへんぞ、と。

 11年、実習生を2人雇った。掃除や部品の用意とか、だれでもできる仕事をさせた。冒頭の飲食店で怒ったのは、そのうちのひとりである。

 圭四郎の妻、あゆみ(43)は高齢者施設で働いた。認知症の女性の爪にマニキュアを塗ってあげると、ひとり歩きがとまった。ネイルの力を感じ、31歳で店を開いた。だが、32歳で結婚して店をスタッフたちに譲り、圭四郎の工場に入った。

 そして、冒頭のベトナム料理店のシーン。社長夫婦とは、圭四郎とあゆみのことだ。

 実習生の怒りは止まらない。

 「いつも怒られる。なぜ怒っているのか分からない」

 何度も何度も繰り返した。

 「ボクたちはバカじゃない」…

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